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私が今まで守り続けた硝子の箱に亀裂が入ったのは、あの日からそれほど経たない頃だった。
その日は、義母に呼ばれ別練に向かっていた。鬱々とした気分で、色とりどりの薔薇が咲き誇る義母の庭園を目に納めながら歩いていた私の視界に、見慣れた2人がうつりこんだ。
13歳の頃からの付き合いである婚約者のパク,ジミンと義妹のソユンだ。
2人が一緒にいるところを初めて見た私は思わず立ち止まる。
この瞬間まで私はこの違和感に気づきさえいなかった。私の人生が狂い始めたのは紛れもなくこの瞬間からだろう。
突然、婚約者の私の目の前で2人は情熱的な口付けを交わしたのだ。本当に突然のことだった。２人に声をかけようと開いた口からは言葉が紡がれることなく、そのまま呆然と2人の行為を見つめるしかなかった。
｢本当にお似合いですよねえ、あのお二人｣
その時、こちらに近づいてくる足音とひそひそと囁く侍女たちの声がした。
どくん、と心臓が飛び上がって、私は咄嗟に薔薇の茂みに隠れた。
｢昔読んだ絵本の王子様とお姫様みたい｣
｢美男美女よね｣
｢私はずっとお二人が結ばれると思ってたわ。あの王女とじゃなくって。｣
突然私の話になって、さらに心臓がばくばくと音を立てて鳴った。
｢国王陛下も何を考えてあの王女との婚約を承認したのでしょう｣
｢そもそも王女かもどうか分からないですよね｣
｢あの王女にパク公爵様は勿体ないですわ｣
｢噂では公爵様のお金でドレスを買い込んでいるらしいわ。｣
｢あの方から王族という身分を取れば何が残るのかしら。ソユン様の方が遥かに教養や王族としての威厳かあるわ｣
｢折角両想いだというのに、お二人があまりにも可哀想｣
｢お二人が結ばれれば良いと何度思った事か｣
もう耐えられなかった。
私は誰にも気づかれないようにその場を離れた。
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葛湯(プロフ) - エレンさん» エレンさん、コメントありがとうございます！とっても嬉しいです!頑張ります！ (2021年9月15日 9時) (
レス) id: 05825be203 (このIDを非表示/違反報告)
エレン(プロフ) - とてもとてもおもしろいです！これからも更新頑張ってください！応援してます！ (2021年9月14日 21時) (レス) id: 3565c3ac01 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：葛湯 | 作成日時：2021年9月12日 22時
