STORY 8 ページ8
ああ、果たして僕は喜んでいいものだろうか。マーロンは今更ながら不安に駆られる。考えてみれば向こうは僕のことを必ずしも好いているとは限らないじゃないか。それに彼は以前とは変わった。周りから見てみれば人柄が良いというわけではないかもしれないが、少なくとも平気で人間を殺すような人ではなかった。それとも魔女狩りという仕事はそんなものなのだろうか。嬉々として殺すわけではなく執行人のように止むを得ずやっているだけなのだろうか。
朝食を食べ終わるとマーロンはいつもより早めに出かけることにした。一度外に出たのをきっかけに今ではほとんど家から出ることに抵抗がなくなっている。
見上げると空は雲一つない晴天で、町はいつにも増して賑わっているように思える。今日はどこへ行ってみようか。ふと、思い立って右へ曲がった。
「魔女を赦してはならぬ！」
突如響いた声に顔を上げると広場の方で人だかりができていた。人々の視線の先には鍔の広い帽子を被り、マントを羽織った背の高い男の姿。
「魔女は確かに実在する。こうしている今でも奴らは人々の安息を奪い、この町が崩壊するのを今か今かと待っているだろう。善良な市民が奴らに弄ばれていい訳がない！ 今こそ害悪の根を立つ時だ。“魔女狩り将軍”に任命されたこのマシュー・ホプキンスが全ての魔女を掃討しよう」
マシューが高らかに宣言するとそれまで半ば呆然と見ていた人々は途端に歓声を上げた。マーロンは彼をもっとよく見ようと人だかりの中を進む。
やっぱりあのマシューだった。服装も雰囲気もすっかり一変してしまったけど、別れたあの時から歳を取っていないように思える。見ているうちに視界が滲み、マーロンは慌てて袖で目元を拭った。
「おーいマーロン！」
振り返ると人だかりをかき分けてトムが近づいてくるのが見える。
「やあ、おはようトム」
「なんだマーロンも見にきてたのか。まあ元気そうで……ん？ おい、何か“魔女狩り将軍”さんがお前のことすげえ見てるぞ」
「え、どんな顔してる？ 友好的？」
小声で耳打ちするトムにマーロンも小声で返す。良い意味で見てるなら良いが……。
「いや、睨んでる。もしや一発で魔女だと疑われたか？ 可愛いからなぁ」
「僕は男だよ！」
「おい、そこの黒髪の」
マシューが呼びかけた瞬間、「まずい！」とトムがマーロンの手を引いて駆け出す。「待て！」というマシューの声を背に二人はその場を走り去った。
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田無苑珠(プロフ) - 寝夢さん» ただでさえ無実の女性を平気で殺しまくってる人ですからね。どこかもう自分でもどうしようもできないほど壊れてるんです。 (2017年6月5日 20時) (
レス) id: f9f63da005 (このIDを非表示/違反報告)
寝夢(プロフ) - 田無苑珠さん» もう色々とアレな人になっちゃってますねミスター・マシュー (2017年6月5日 20時) (レス) id: 0c9f17ee4b (このIDを非表示/違反報告)
田無苑珠(プロフ) - 寝夢さん» 読んでくれてありがとうございます！はい、言いましたw……と、言っても実は恋愛という意味ではなくて、本人もよく分からない感情をマーロンに抱いてるんです。 (2017年6月5日 20時) (レス) id: f9f63da005 (このIDを非表示/違反報告)
寝夢(プロフ) - 面白いです！マシュー、……あ、愛してる…って言いました……？ (2017年6月5日 10時) (レス) id: 0c9f17ee4b (このIDを非表示/違反報告)
田無苑珠(プロフ) - ロイヤルストリートさん» ありがとうございます！好きになってくれて嬉しいです (2017年5月23日 13時) (レス) id: f9f63da005 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：田無苑珠 | 作成日時：2017年5月5日 13時
