STORY 40 ページ40
＊
場所は変わって、サフォークのとある教会では掃除をしていた女性二人が何やら話していた。そのうちそれを聞いていた者も混じって一時賑やかになる。
「ねえ、チェルムズフォードのこと聞いた？」
「町で何かあったの？」
「ほら、その町でも魔女狩りがあったじゃない。確かマシュー・ホプキンスって人が」
「ああ、あの人」
床を磨いていた少年はその名前を聞いて、視線を上げぬまま聞き耳を立てる。
「その人、今も魔女狩りを？」
「それが、もう終わったみたいなのよ」
「本当！？」
「ええ。この前裁判を見に行ったのだけどある男の子が教会に届けた手紙とマシューが使っていた道具が決定打となったんですって。それで彼がペテン師だってことが発覚したのよ」
「ちょっと待って、ペテン師！？ それなら今まで殺されてきた人たちは……」
「何の罪もないわ」
「ひどい……！ そ、えっとそれでそいつはどうなったの？ ちゃんと逮捕された？」
「いいえ、どこかに行方を眩ましているわ」
「はやく捕まってくれないかしら……またどこかで犠牲者が増えるかもしれないじゃない」
少年は無表情のまま掃除を再開した。彼は一度も顔を上げなかったので、マシューの話を初めてからずっと『裁判を見た』と言った女性に見つめられていることに気づいていない。数秒経って彼女は再び口を開いた。
「そういえば裁判所でのマシュー、ちょっと危なかったわ」
「危なかった？」
「ええ、病気だったのよ。結核だと思う。逃亡する際に急に血を吐いて、私驚いたから叫んじゃって恥ずかしかった。苦しかったはずなのに何故か彼、笑っていたの。ぶつぶつと『生きてた、生きてた』って言ってて怖かったわ」
「『生きてた』って……」
「たぶん、マシューの息子のことじゃないかしら」
「息子居たの！？」
「そうみたい、名前はわからないけどね。……あ、そうそう。ねえ、マーロン？」
少年は作業を止めて顔を上げる。何も聞いていなかったふうな表情を浮かべて。
「なんですか？」
「あなた、今いくつだっけ？」
「十二になります」
「チェルムズフォードへの行き方って分かる？」
「あ、はい。何度か行ったことはあるので」
「そう。明日ちょっとお遣いを頼まれてくれる？」
「はい、勿論です」
彼女はふとマーロンの胸元に目を留めた。
「その十字架、綺麗ね」
「父から……貰った物です」
「大事にしてるのね。そういえば、あなたお父さん似ね」
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田無苑珠(プロフ) - 寝夢さん» ただでさえ無実の女性を平気で殺しまくってる人ですからね。どこかもう自分でもどうしようもできないほど壊れてるんです。 (2017年6月5日 20時) (
レス) id: f9f63da005 (このIDを非表示/違反報告)
寝夢(プロフ) - 田無苑珠さん» もう色々とアレな人になっちゃってますねミスター・マシュー (2017年6月5日 20時) (レス) id: 0c9f17ee4b (このIDを非表示/違反報告)
田無苑珠(プロフ) - 寝夢さん» 読んでくれてありがとうございます！はい、言いましたw……と、言っても実は恋愛という意味ではなくて、本人もよく分からない感情をマーロンに抱いてるんです。 (2017年6月5日 20時) (レス) id: f9f63da005 (このIDを非表示/違反報告)
寝夢(プロフ) - 面白いです！マシュー、……あ、愛してる…って言いました……？ (2017年6月5日 10時) (レス) id: 0c9f17ee4b (このIDを非表示/違反報告)
田無苑珠(プロフ) - ロイヤルストリートさん» ありがとうございます！好きになってくれて嬉しいです (2017年5月23日 13時) (レス) id: f9f63da005 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：田無苑珠 | 作成日時：2017年5月5日 13時
