STORY 39 ページ39
「母親を殺しておいて、よくもマーロンの前に顔を出せたわね！ どんな気持ちだった？ 一度は愛した女を殺して、息子を独りにして楽しかった？ ねえ、何でそんな残酷なことが出来るの？ あの子は、マーロンはあんたの息子でしょ！？」
その言葉に騒いでいた民衆が一瞬にして静まりかえる。
「マーロンって……二年前に行方不明になって……え？ なんだ……あの子が“魔女狩り将軍”の息子だって？」
「そ、そう言われてみれば似てるような……」
既に女性はマシューを離し、その場に立ち尽くしていた。言ってしまったという後悔もあるのだろう。
するとそれまで黙っていたゴール牧師が「皆さん」と声を発して手紙を掲げる。
「これはマーロン・ヒューイットによって書かれた物です。せめて死んだ母の無念を晴らそうと子供ながらに必死に証拠を探してこれを私のもとへ届けたのでしょう。彼もまた、母親を殺された被害者です。そして無実の女性が殺されるのを見ていられず何としてでも止めようとした。たとえそこの男と血が繋がっていてもその人格は全くの別物、子供には何の罪もありません。ですがその男は――」
「マーロン……？」
弱々しい声がゴール牧師の言葉を遮った。
虚ろな目で前方を見つめ、立ち上がったマシューは女性をゆっくりと押しのけておぼつかない足取りで近づきながら手紙に手を伸ばし――倒れこんだ。
「マシュー！」
真っ先に血相を変えたトムが駆け寄る。マシューは荒い呼吸を繰り返しながらもしきりに視線を彷徨わせている。昨日もこんなことがあった。二度目になってようやくトムは彼が何を探しているかに気づく。
「マシュー……マーロンはここには居ないよ。この町のどこにも居ない」
「その男、病気なのか？」
マシューはトムの手をそっとどけると再び立ち上がった。拍子に被っていた帽子が落ちたが拾おうともしない。
扉へと向かう彼の前に人々が立ちはだかる。
「このまま逃がすと思ってんのか」
「よくも騙してくれたな」
おもむろにマシューは剣を抜くと一振りした。
「うわ、危ねえ！」
「誰か押さえろ！」
「そこをどかねぇと殺すぞ」
続けて振り回してから彼は左手で口元を押さえて咳き込んだ。剣を床に突き立てて身体を支えるが今にも崩れ落ちそうだった。
「はぁ……はぁ……げほっ……ゴフ……！」
身体を震わせたマシューの左手から血がこぼれ落ちて床を赤く染める。それを見た女の一人が短く悲鳴をあげた。
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田無苑珠(プロフ) - 寝夢さん» ただでさえ無実の女性を平気で殺しまくってる人ですからね。どこかもう自分でもどうしようもできないほど壊れてるんです。 (2017年6月5日 20時) (
レス) id: f9f63da005 (このIDを非表示/違反報告)
寝夢(プロフ) - 田無苑珠さん» もう色々とアレな人になっちゃってますねミスター・マシュー (2017年6月5日 20時) (レス) id: 0c9f17ee4b (このIDを非表示/違反報告)
田無苑珠(プロフ) - 寝夢さん» 読んでくれてありがとうございます！はい、言いましたw……と、言っても実は恋愛という意味ではなくて、本人もよく分からない感情をマーロンに抱いてるんです。 (2017年6月5日 20時) (レス) id: f9f63da005 (このIDを非表示/違反報告)
寝夢(プロフ) - 面白いです！マシュー、……あ、愛してる…って言いました……？ (2017年6月5日 10時) (レス) id: 0c9f17ee4b (このIDを非表示/違反報告)
田無苑珠(プロフ) - ロイヤルストリートさん» ありがとうございます！好きになってくれて嬉しいです (2017年5月23日 13時) (レス) id: f9f63da005 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：田無苑珠 | 作成日時：2017年5月5日 13時
