Urban Legends (ページ14)

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新人研修・実地ページ14

「座り心地はどう？辛くない？」

「辛くないです。僕のために新品を用意してくれるなんて本当に嬉しいです！」

　あれから数日が経った。僕は自分のデスクに座って深澤さんや目黒さん、隣の席の関西人向井康二くん(初日に君付けで呼んで欲しいと言われた)と話すのが日常になっていた。背の高い僕を気遣っているのか、毎日のように深澤さんが椅子の座り心地や机の高さを聞いてくる。

「そういえばラウルは明日から実地での研修なんやろ？僕二日目の担当やから今から緊張するわぁ」

　康二くんがそう言うと、一気に事務所が凍りついた。数秒後、一斉にスケジュールの確認を始める。また数秒後、事務所の一画に集まりだす。

「阿部、なんで俺が最終日なの？」

「照のは刺激が強いから」

「なんで舘さんも仕事あるの？俺聞いてない」

「だって言ってないし。舘様は了承済みだよ」

「はいはい！何で佐久間さんはこんな後なんですか！？」

「動きが人知を超えてるからだよ！！お前らなんでスケジュール管理すら出来ないんだよ！？常識だぞ」

「阿部ちゃん。俺が三日目は前すぎない？」

「触手出さなきゃ良いだけでしょ」

「なんで俺が真ん中なの？少なくとも彼奴のよりはマシじゃない？」

「きょものは心理的ダメージがでかいからじゃない？」

「佐久間正解。アレはなかなかエグいからね」

　社員さんたちの質問攻めをいなす阿部さん。というか触手……？触手ってあの！？なかなかショッキングな話をしているが、都市伝説界隈では普通なのだろうか？僕はまたカルチャーショックを受けた。

「ラウール。ちょっと所長室まで来てくれない？」

　深澤さんに言われて我に返る。実はこの事務所には所長室が有る。ただ主が人と巫山戯るのが好きなので、使っていないだけなのだ。其処に呼ばれたということはもしかしてなんかやらかしちゃった？

「失礼しまーす」

「別に何かやらかしたわけじゃないんだから、そんな暗くならなくて良いよ〜」

　所長室に入るのは初めてなのでとても緊張する。所長室の机は事務所のものよりも何倍も豪華で、高価に見えた。

「研修はどう？順調？」

「は、はい！阿部さんの指導のお陰で順調に進んでます！」

「そっか。そりゃあ良かった。で、明日から実地での研修、というか先輩たちの仕事ぶりを見学するわけだけど、それについて言っておきたいことがある」

　言っておきたいことってなんだろう？注意事項はもう阿部さんから聞いているけど…。