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「今日満月なんだ」



ふと外に目をやると、庭の池に反射する丸い月が見えた。
部屋に帰ってもどうせ眠れないからと、廊下に座って空を見上げた。



「わぁ!星が綺麗」



満天の星空が広がっていた。
施設にいた時は空を見上げて星を見る、なんてことなかったから。

澄んだ空気と虫の声。

春の夜だからまだ肌寒くて身震いする。



「風邪、引きますよ」

「え… 」


突然聞こえた声に驚いて振り返ると、着物姿の菊さんがいた



「お、起こしちゃいました…?」



今まで1人で住んでいた家で人の気配がうろうろしてたら起きてしまうのも仕方ないのかもしれない。

申し訳ないことをしたな、



「気にしないでください。喉が渇いて起きてしまっただけですから」



菊さんは両手に持っていた湯呑みの片方を渡すと隣に正座で座った。



「あ、ありがとうございます」

「ふふ、月見にはもってこいの満月ですね」



空を見上げる菊さんと同じく空を見上げる。

両手で包み込んだ暖かい湯呑みはじんわりと冷たくなった手を温めてくれる。



「私、誰かと星空眺めるの、初めてです」

「おや、初めてを私が頂いちゃいましたか」



お茶目に笑う菊さんは再び空を見上げた。

その表情は何かを懐かしむようで、楽しそうで、少し、寂しそうに見えた。



「私は2度目、ですかね。」

「彼女とかですか?」

「ふふ、まぁ、そんな感じ…ですかね?」



楽しそうに笑う彼は今、その相手を思い出してるんだろうな。


何か話すことも無く、静かに夜空を眺めた。


お茶を飲んだ菊さんは立ち上がると私に手を差し出した。



「さあAさん。そろそろ寝ましょうか」

「あ、はい!」



菊さんの手は暖かくて、少し硬かった。

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金なし大学生(プロフ) - ポチの飼い主さん» コメントありがとうございます!後々祖国以外のキャラクターも出てくる予定なので誰が出てくるか楽しみに最後までお付き合い下さい! (4月3日 14時) (レス) id: e75eea13ca (このIDを非表示/違反報告)
ポチの飼い主 - 最近ヘタリア熱再発したんですけどこの作品見つけることが出来てよかったです。面白くなりそうな予感がします!ぜひ頑張ってください!!更新待ってます! (3月29日 19時) (レス) @page8 id: 064c9c6d48 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:金なし大学生 | 作成日時:2024年3月29日 18時

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