〇20 ページ5
Aside
『う〜ん!美味しい!』
放課後、大昇くんに連れられてきたのは
大昇「やっぱ夏といったらかき氷だよな〜」
古風なカフェ。
その中で夏限定のかき氷を食べに来た。
『ねぇねぇ、大昇くんの黒蜜きなこ美味しい?』
大昇「うん、美味いよ。食べてみ」
『えっ』
“食べてみ”、そう言いながら
私の口元まで運ぶスプーン。
これ、さっきまで大昇くんが使ってたやつ。
今、私が、口を開けたら、
……間接キス。
大昇「ん?食べないの?」
『…た、食べます』
パクッ
口の中で氷が溶ける。
美味しい…とか、甘い…とか味がわからなかった。
ただ自分の体温が夏のように上がっていった。
大昇「Aのもちょうだい」
『う、うん…』
目を見つめながら、私のかき氷を待つ大昇くん。
右手が緊張で震えながらも、
ゆっくりと口元へとスプーンを運んでいく。
その瞬間がスローモーションに感じる。
体全体に、心臓の音が強く鳴り響く。
そして、見つめあったまま、パクッと食べた。
頭のなかで、“私が食べてたスプーン”とか
“味ちゃんとしてるのかな”とか
“大昇くんもドキドキしてるかな”って
考えがいっぱいいっぱいになる。
大昇「う〜ん!美味しい!」
『えっ、あ、うん!良かった!』
大昇くんの言葉で、ふと我に返る。
普通に美味しそうな表情を見てると、
大昇くんは平気なのかな…って少し大人に感じた。
大昇「あのさ、」
『ん?』
大昇「また来年も一緒にかき氷食べようよ」
『……うん』
“来年も一緒に”
この言葉が凄く嬉しい。
だけど、それと同時に
恐ろしい夢の不安が襲いかかる。
『…大昇くんは来年も……私と一緒にいてくれるの?』
夏の暑さでかき氷が一瞬で溶ける。
セミの鳴き声がだんだんと聞こえなくなって、
大昇「うん」
と、優しい表情で答えてくれた。
簡単な2文字だけど、
その言葉は心に大きく響いた。
大昇「あ、そうだ!」
『ん?』
大昇「今週の花火大会、一緒に行かない?」
.
104人がお気に入り
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ホワイトチョコ | 作成日時:2022年8月13日 0時