〇17 ページ5
那須side
体育祭も後半戦。
残りの競技は全員リレー。
いよいよ本格的な青春が始まろうとしている。
全員リレーでは、俺はアンカー。
アンカーは、頭にハチマキを巻くのが決まりだ。
青の長いハチマキをポケットから取り出した。
大昇「あーちょっと待って」
額に結びつけようとした時、大昇が呼び止めた。
大昇「それ、やらしてくれない?」
俺が手に持ったハチマキを大昇がひょいと取り上げる。
大昇「ほら、」
そう言って背中側の誰かに話しかける。
『那須先輩……後ろ向いてください』
大昇の背中から隠れ出てきたのはAちゃんだった。
ハチマキを両手で掴んで
俺に1歩ずつ、ゆっくりと近づいた。
視線が合うと、Aちゃんから、
ごくりと聞こえる生唾の音。
俺はその目を逸らさずに距離が縮まるのを待った。
那須「……つけてくれる?」
『……はい』
Aちゃんが俺のすぐ先に辿り着いた時
その場で、膝まついたようにしゃがんで
Aちゃんに背中を預けた。
視界の後ろから
ゆっくりと延びてくる華奢な手。
ハチマキが額に触れると
そのまま後ろに手を持っていく。
頭の後ろでキュッと聞こえた結ぶ音。
整えるようにAちゃんの手は俺の髪に触れた。
背後から“よしっ”て聴こえた後
『那須先輩…こっち向いてください』
その言葉の通り、
しゃがんだ体から立ち上がって
Aちゃんへと振り返り視線を落とす。
『先輩、』
俺を呼ぶ声と同時に、
下からそっと顔の近くまで手が伸びてきた。
そのまま、
ハチマキに絡まった前髪をぴょこんと治す。
Aちゃんのほんのちょっとだけの背のび。
前髪に集中した視線。
その姿が全部視界に入る。
『……あの笑、そんなに見ないでください笑』
気付けば、Aちゃんに夢中だった。
『先輩、出来ました!』
「ありがとう」
『あの…先輩』
Aちゃんは最後の言葉を詰まらせて、
照れくさそうな姿を見せた。
『ハチマキ…頑張って巻いたので、
. 那須先輩……元気100%になりましたよね…!』
……狡い言葉。
そんな事言われたら、、
「元気出たから……誰よりも俺を応援して、ね?」
ゴール先に
君が精一杯応援してくれるのを
また、探してしまう。
.
148人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「美少年」関連の作品
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ホワイトチョコ | 作成日時:2022年6月20日 21時