もしもこの恋が出来たなら

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カンカンカンカン





終了のゴングが大きく鳴った。





本当に一瞬の出来事。





最後まで緊張で力が入り、痺れるほど。





“インターハイ予選大会、勝者…”
















……















……。
















“金指一世”





はぁ……と一息
ようやくシートにもたれることが出来た。





良かった……勝った!!





一世勝った！！！





静かな機内で大きくガッツポーズをした。





最後の賭けのパンチが、相手の顎に綺麗に入った。





本当にギリギリの試合。





そのギリギリに一世は勝ったんだ…。





___.





場面は選手インタビューに切り替わった。





“決勝出場おめでとうございます”


「うす、ありがとうございます」


“今の感想をお願いします”


「もう、ほんとに、えー、最高ですね！」


“勝利や優勝を伝えたいメッセージをどうぞ”


「……必ず、迎えに行くから、強くなる俺を見ててください」


“両親やコーチへのメッセージですか？”


「あ、いえ、あ……僕の」










「……好きより大事な人にっす」





最後の言葉……





私がもう聞けないんだろうなって諦めた言葉だった。





嬉しくて嬉しくてたまらない。





涙が…もう言うことを聞かない。





『嬉しいのに…何で出てくるの、涙』





それでも機内は静かなまま、





ただ、私の感情がうるさく溢れていた。





最後にインタビューで笑う一世は





私たちがまだ小さい時、





「いつかぼく達結婚しようね」


『うん！約束だよ』





約束無効だと思っていたプロポーズの時と





同じ顔をしていた。





Fin.

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