〇17 ページ36
.
それは、繰り出すパンチがどれもスローに感じた。
かれこれ試合は15分にも及んだ。
私はその間ずっと目が離せない。
リング上では相手を見つめ離さない視線。
戦おうとする意思が交わっていた。
隙あればと何度も打つジャブ。
攻撃を何回も繰り出す。
しかしその反面、一世の顔にも段々と傷がついていた。
どちらが勝つなんてまだハッキリとは分からない。
試合は泥沼に浸るばかりだった。
その時、ガードが間に合わず、
一世に一撃が入った。
『一世っ!!……あ、すみません。』
思わず機内で声を出してしまうほど痛いパンチだった。
審判がカウントを入れる。
10…9…8…
お願い……一世……立って!
5…
4…
“金指一世……食らいつくように立ち上がった!!”
オォと低く会場に歓声が湧き上がった。
足元が若干ふらつくほど弱っているにも関わらず
一世の眼差しはまだ諦めてはいなかった。
仕切り直しが入り、ラウンドが再開された。
次、一世が入れないと、かなり厳しい。
たっぷりの汗と、滲む血が体から流れていた。
それは相手も同様。
その瞬間……
一世が、賭けの、力を振り絞った最後のパンチを繰り出した。
この攻撃を塞がれたら…もう終わり。
私はスマホを力強く握りしめて
ただお願いするしか無かった。
今すぐ声を届けたいのに……!
心の中で
『一世……!!』
と伝えるように叫んだ。
.
167人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
しゅうか(プロフ) - 初めまして。読みながら号泣してしまいました。素敵なお話ありがとうございます! (2022年6月28日 13時) (レス) @page37 id: 81d3bec9f9 (このIDを非表示/違反報告)
ホワイトチョコ(プロフ) - ^_^さん» 大昇どこいった (2022年6月20日 3時) (レス) id: 5af4654439 (このIDを非表示/違反報告)
^_^(プロフ) - サイコーっす那須最高っす (2022年6月20日 2時) (レス) id: 3634040f38 (このIDを非表示/違反報告)
ホワイトチョコ(プロフ) - ぎゃうさん» う、う、嬉しい……( ꒪⌓꒪) (2022年6月16日 22時) (レス) id: 5af4654439 (このIDを非表示/違反報告)
ぎゃう - 最初から最後まで改めて読んだけど、まじで好き〜あの下駄箱の飛貴の匂いめちゃくちゃ想像できる。美少年浮所飛貴の匂いじゃなくて一般人浮所の匂いがち好きすぎる。あといせちゃんが怒ってお弁当やめてとかハートに気づかない鈍感で恋愛ならしてない感じがいせちゃん (2022年6月16日 16時) (レス) id: 38302e75f7 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ホワイトチョコ | 作成日時:2022年6月10日 0時