〇16 ページ35
.
キャリーケースを運ぶ音がどこからともなく聞こえる。
10分に1回は出てるんじゃないかって思うほど忙しい飛行機。
今日はインターハイ予選大会本番の日。
私は会場……ではなく空港にいた。
“日本航空29便での……”
私が乗る便にアナウンスがかかった。
搭乗口まで向かい、
中に進み自分の席を確認する。
飛行機の中は先程とは違い、とても静かだった。
大事にまとめたリュックを頭上のケースに入れて
スマホを1つ取り出した。
ちょうどもうすぐ一世の出番……。
ごくりと緊張しながら勝つ事だけを願った。
“赤リング、金指一世さん”
あ……一世。
アナウンスと共に公式ユニフォームを着て登場する。
『一世……頑張れ』
会場全体に緊張感が漂っているのが
画面越しでも伝わってくるほどだった。
すると、カメラのアングルが
リングから選手とコーチの
作戦会議をしている場面に切り替わった。
その様子は
コーチが、何かと一世に必死に伝えていて
一世はそれを聞きながら大きく何度も頷いていた。
始まる前に1口水分補給をと
マネージャーがドリンクを差し出す場面が目に入った
その時
ドリンクホルダーに、何かがギラっと反射した。
よく目を凝らしてもヒラヒラと薄っぺらく定められない。
もう一度よく見てみると
それは、
私があげた“fight!!”の応援ラベルだった。
まるで、私を会場に連れてくれたみたいで
私の声が届いているようにも思えた。
『もっと…可愛く書けばよかった笑』
少しの羞恥心と、嬉しさと
好きな気持ちが、新しく芽生えたような気がする。
そして……
本番のゴングが鳴った。
.
167人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
しゅうか(プロフ) - 初めまして。読みながら号泣してしまいました。素敵なお話ありがとうございます! (2022年6月28日 13時) (レス) @page37 id: 81d3bec9f9 (このIDを非表示/違反報告)
ホワイトチョコ(プロフ) - ^_^さん» 大昇どこいった (2022年6月20日 3時) (レス) id: 5af4654439 (このIDを非表示/違反報告)
^_^(プロフ) - サイコーっす那須最高っす (2022年6月20日 2時) (レス) id: 3634040f38 (このIDを非表示/違反報告)
ホワイトチョコ(プロフ) - ぎゃうさん» う、う、嬉しい……( ꒪⌓꒪) (2022年6月16日 22時) (レス) id: 5af4654439 (このIDを非表示/違反報告)
ぎゃう - 最初から最後まで改めて読んだけど、まじで好き〜あの下駄箱の飛貴の匂いめちゃくちゃ想像できる。美少年浮所飛貴の匂いじゃなくて一般人浮所の匂いがち好きすぎる。あといせちゃんが怒ってお弁当やめてとかハートに気づかない鈍感で恋愛ならしてない感じがいせちゃん (2022年6月16日 16時) (レス) id: 38302e75f7 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ホワイトチョコ | 作成日時:2022年6月10日 0時