11 まだ知らぬケーキの話と /blue ページ11
今まで食べて来たパンなんか比べ物にならない、パウンドケーキとクッキーは、あっという間に俺達の胃袋に収まった。残りはNakamuに持っていく分だけど……そもそも事の始まりがNakamuが甘い物を欲してるのに得られないから破壊衝動に還元されてしまっている。お蔭できりやんの修復部隊は毎日どこかしらを修繕工事してる。
「でも、これ、出してだいじょぶ?」
「なにが?」
「おめかししてないケーキだよ?」
おめかししてないケーキ?どういうことだ?
……そういえば、最初にクリームと果物がどうの、って言ってたな。
「まるいケーキにクリーム塗って、くだもの挟んで、クリームとくだものを上にのっけて、おめかしさせるの」
「なるほど?」
「パウンドケーキより甘くなっちゃうから、甘いの好きじゃない人は好きじゃないかも」
「あー、シャークんとか?」
「聞いてる分だと、俺はパスかな」
イメージがまったくできない。クリームと果物で飾り立てた、パウンドケーキじゃないケーキ……うわぁNakamu好きそ〜……
「もう、持っていく?」
「そうだね、Aサンは……」
一度も会った事のない、医務室に寝かされていた真っ白な身元不明の人間が作った、見知らぬ甘い物。どう説明するんだ……連れて行くしかないのか?
「ここ来た時みたいに、捕まえてく?」
「それが無難なのかなぁ」
「作ってる行程は俺ときりやんが見てたし、4人で毒見もしたし、ダメだったらまた何か壊れるくらいで済むかな」
「Aサンは初めて会う人だね。この国でいっちばん偉い人のところ行くよ」
いちばんえらいひと、とオウム返しで、首を傾げてから、おうさま?と結論付けたらしい。合ってるな……
「会っていいの?」
「いいよいいよ。あいつも会ってみたいって言ってたし、丁度良いでしょ」
じゃあ行こうか、とまた両手を拘束してテレポート用の魔法陣を描く。今度は転ばないでねと声をかけて、発動させた。パウンドケーキとクッキーはBroooockが運んでくれた。
「あでっ」
「本日2回目なんだけど?」
「だって初めてだもん」
また尻もちをついたAサンが子供みたいな抗議をするから、ハイハイとあしらっておいた。今日初めて話したばかりなのに、なんとなく扱いが分かって来たよ。
「…………ねえ、そいつ、誰?」
流れで話してたら、いつもに増して不機嫌を隠さない、我等が王様の声がした。
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花浅葱(プロフ) - 更新ありがとうございます!可愛い主人公くんに癒されてます大好きです! (5月5日 21時) (レス) id: a018b91ff4 (このIDを非表示/違反報告)
べんがら@pc垢 - 罪ノ姫さん» わーいありがとうございます!今回は少々手探りでの執筆ですが、楽しんでいただけたら幸いです! (3月5日 2時) (レス) id: 34f7b3b145 (このIDを非表示/違反報告)
べんがら@pc垢 - 未知の世界さん» コメントありがとうございます!真っ白くん(仮)は「とにかく純粋無垢」なイメージでお送りします! (3月5日 2時) (レス) id: 34f7b3b145 (このIDを非表示/違反報告)
罪ノ姫(プロフ) - いつも、べんがらさんの小説のファンです! メンバーが可愛くてニヤニヤしながら見ております。これからも応援しております。頑張って下さい! (3月4日 22時) (レス) @page10 id: c44fcc878f (このIDを非表示/違反報告)
未知の世界(プロフ) - かわいい… (3月3日 17時) (レス) @page9 id: 4b87b23b9f (このIDを非表示/違反報告)
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