重なる神の手〜オペ室の2人〜 #4

コードホワイト ページ4

*nakama*




『コードホワイト、コードホワイト。ホワイトチームは小児科病棟へ集合して下さい。繰り返します。コードホワイト、コードホワイト。ホワイトチームは小児科病棟へ集合して下さい』


突然流れた院内放送で女性の声がそう告げた。


…コードホワイト。

"病院内で不審者や暴力等のトラブルの発生"

を意味するそのコールを、訓練以外で聞くことになるなんてな。


スタッフステーションに緊張感が走ったその瞬間、目の前で学会の資料作成を手伝ってくれていた小瀧が、バッと立ち上がった。



小瀧｢すいません、俺、ホワイトチームなんで行ってきます！｣


中間｢っ、俺も行く。人手が多いに越したことはないやろ？小児病棟なら尚更やわ｣


小瀧｢行きましょう｣




ホワイトチームやないけれど、小児病棟という場所に危機感を覚えて小瀧と共に、階段を駆け下りる。


コールから3分もしない内に駆けつければ、小児病棟は異様な雰囲気に包まれていた。

警備員をはじめ、ホワイトチームであろう体格のいい理学療法士や研修医が、とある一部屋を囲むように立っている。

と、次の瞬間、怒号と共に机や椅子の倒れるような音と、女性の悲鳴が聞こえ、看護師の姿がちらりと見えた。




Ns｢…やめて、下さい｣


男｢なんだよ今の放送は？！あぁ？｣


桐山｢落ち着きましょう、危ないですから｣




…はぁ？照史の声したんやけど？あいつ小児病棟で何してるん？

小瀧にも聞こえたんやろう。顔を見合せて首を傾げる。


何してるんか知らんけど、また厄介なことに巻き込まれよって。ほんま、お節介なやつなんやから、通りすがりに首を突っ込んだんやろ。

院内放送を聞いて、男がさらに暴れだしたらしく、ますますヒートアップした怒鳴り声が聞こえる。

すると、隣にいたナースが恐る恐る口を開いた。




Ns｢桐山先生が対応するって言って下さって、各所に連絡だけしてって言われたんですけど、私、、あの男の人が、刃物持ってるの、見ちゃって｣


中間｢刃物？！｣


Ns｢キャンプとかで、使うようなやつだと、思います｣




凶器を持っているとなると、また話は変わってくる。

警察に通報し、子供たちの病室の扉は可能な限り全て閉め、ひと部屋にスタッフが1人ずつ居てもらうようにした。


あとは、どう男を捉えるか。

最悪の場合、、、血が流れる。


男の様子を伺いながら、徐々に部屋に近づいていく。

どこかで必ず油断する、その一瞬を逃さないように、息を殺した。

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