検索窓
今日:1 hit、昨日:1 hit、合計:7,707 hit

陸拾仇話 ページ25

結論から言うと、私は間に合わなかった。


宙に言われた現場に向かうと、そこには既に息絶えた匡近と彼を抱く実弥の姿があったのだ。


「下弦ノ鬼ハ、倒シ終ワッタヨウダガ………Aノセイデハナイ。ヨク頑張ッタ」


『結果が全てだよ、宙。その過程が生きるか死ぬかも、ね』


慰めるように寄り添う宙を尻目に、Aは実弥の下へと向かう。


「……お前は柱なんだろォ? なんでもっと早く来ねェんだよォッ」


「待て、幻柱様は衰弱している中を来てくださったのだ! それもこの任務には関係もなくーー」


「知るかァ! 柱なら下の隊士を守るのが仕事だろうがァ!? テメェが来るの遅せェせいで匡近は死んだんだぞッ!? 柱なんて、鬼殺隊なんて辞めちまえッ」


『……うん、その通りだと思う。実弥の言う事は間違っていない、君の言う事は正しい』


友を失った勢いで叫ぶ実弥を慰めるように、Aは彼の目の前に膝をつく。


『私は柱失格だと思う。守りたい者を助ける為に鬼殺隊に入隊したのに、実際救えるのは一部の人達だけで、残りは私の手から零れていく』


今も目を閉じれば分かる。思い出せる。
任務先で助けられなかった人達の顔を言葉を。


『……だが、私は諦めないし辞めない。この手でまだ救える者がいる限り、私は辞めるつもりはない』


『殴りだければ殴ればいい、それが君と匡近君への贖罪となるならば』


「なりません、幻柱様! 貴女様が良くても隊律違反になってしまいます!」


『大丈夫、私の権限で揉み消せるから』


Aが隠に向かって微笑むと、何か物言いたげな表情で見つめながら頷いた。


実弥の方を見ると、彼は歯を食いしばって何かを考えていた。
が、次の瞬間、彼の全力の拳がAの頬にめり込んだ。


流石は次期風柱と言ったところか。その威力は凄まじく、何の防御も抵抗もしないAは為す術なく吹き飛び、転がる。


(さ、流石にこれはキツいかも……)


元々、衰弱していた時に呼吸を乱用したのも加わったのだろうか、当たりどころが悪く脳震盪を起こしてしまったようだ。


そんな事を考えていると、仰向けのAの前に実弥が現れた。


「俺だって、アイツを守れなかったッ、だから今回はこれで許してやらァ………ッ」


そう言うと、彼はくるりと背を向けた。
それを見ると、Aはゆっくりと目を閉じた。



ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー ー

なお、気絶したAを見て隠と実弥が青ざめたのは、また別の話。

続く お気に入り登録で更新チェックしよう!

最終更新日から一ヶ月以上経過しています
作品の状態報告にご協力下さい
更新停止している| 完結している



←陸拾捌話



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.5/10 (23 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
75人がお気に入り
設定タグ:鬼滅の刃 , 夢小説 , 転生
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

尊い - 続きが速く見たいです (2022年3月26日 23時) (レス) @page11 id: 730adcd2c0 (このIDを非表示/違反報告)
にゃーちゃん - 続きが気になるぅぅぅぅうぅぅう!!!!更新楽しみにしてます! (2022年3月18日 8時) (レス) @page11 id: 04c952a5b3 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:わんフル | 作成日時:2022年2月22日 8時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。