占いツクール
検索窓
今日:15 hit、昨日:39 hit、合計:3,486 hit

先輩と後輩、絆と契り(6-6) ページ5

「かはっ……」

「先輩ッ!!!」

もう『神官』の掟など頭になかった。
森から飛び出して、地面に倒れこんだ先輩の傍に跪いた。

「……な、なこ、さん」

「しゃべんな!!今止血を……!」

俺は〈能力者〉であっても〈魔術師〉ではない。
治療の魔法は使えない……つまり、先輩は救えない。
それでもとボロ布や植物のツルを使って懸命に先輩のお腹にできた傷口に押し当てて、止血を試みるものの一向に真っ赤な血は止まらない。

「……は、はは。なんか、……ちょーし、くるう、な」

「しゃべんなって!!」

苦しそうに咳き込む先輩。目の焦点が合わずに朧げに宙をさまよう。

「……やっぱ、なな湖、さん……ッ、とは、……じっ、きょ、…… して、……るとき、……が、おちッ……つく、ね、……」

「……、先輩ッ!!!」

だらだらと血を垂らしながら満足げに微笑んだ先輩は、そのままがくりと力なく土の上に倒れこんだ。
両手が真っ赤に染まる。ぶわりと大量の涙が溢れでて、先輩のシャツにシミをつくる。
ううう、と低く唸って、先輩の血塗れのシャツの胸に顔を押し付けながら泣きじゃくる。
物心ついた時からずっと一人だった俺に、初めてできた友達が、俺より早く、死のうとしてる……

トクン

ふと、頬に感じた振動に、俺は顔を上げて先輩の顔を凝視した。生気のない白い顔と閉じられた瞼はぴくりとも動かない。
それでも心臓はまだ動いてる。生きている。
そのことに酷く安心して、再び顔が涙で覆われた。
まだ助かる。まだ助かる。

「落ち着きましたかな?」

ふ、と。
嗜めるような老人の声に俺は忘れかけていた怒りを思い出した。

「さて、その男が本当に死ぬ前にご決断を」

ふつふつと、煮えたぎる怒りを腹の底でうねらせながら俺は迷わずその小瓶を受け取った。
それをぬーすけ先輩の口内に差し入れ、中の液体を飲ませる。
途端に先輩の体が石化したように固まって、一切動かなくなった。
“ 呪い ”が作用して先輩の体は時間停止状態になったのだろう。

「では、約束通りに〈神域の森〉の開拓許可を」

俺を覗き込みながら、ニヤリと醜く嗤う老人を俺は躊躇なくぶん殴った。

「ええで、好きなだけ開拓せぇよ」

今までずっと押さえつけていた怒りが身体中を埋め尽くす。全身が熱暴走を起こしそうなほど熱く、頭がおかしくなるくらいに脳が痺れていた。
すっかり怯んだ村人を据わった目で射抜くように睨みながら、地面から大木を生やす。





「生きてれば、な?」

先輩と後輩、絆と契り(6-7)→←先輩と後輩、絆と契り(6-5)



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 10.0/10 (19 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
27人がお気に入り
設定キーワード:混ぜるな危険 , 混ぜメン
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

あんぴーなっつ(プロフ) - すぷらさん» わっ!コメントありがとうございます!mzmn界隈で見たことのある方から感想いただけて嬉しいです!これからも頑張ります(*´ω`*) (5月27日 14時) (レス) id: 236992ae33 (このIDを非表示/違反報告)
すぷら(プロフ) - うーん面白い(泣) 二神の友情シーン本当にすきで10回は読みました…… あとの2人のエピソードもめちゃくちゃ気になります……更新頑張ってください……!! (5月26日 17時) (レス) id: e0f418c1fd (このIDを非表示/違反報告)
あんぴーなっつ(プロフ) - minaduki.さん» コメントありがとうございます!むしろこんな作品に感動して下さってありがとうございます……(;°д°)読むの大変かと思いますが、これからもお付き合いください!閲覧ありがとうございました! (4月16日 17時) (レス) id: 236992ae33 (このIDを非表示/違反報告)
minaduki.(プロフ) - 初めまして!先輩となな湖さんの回で泣いてしまいました; ;世界観とか設定が作りこんであって素敵です!更新頑張ってください! (4月15日 21時) (レス) id: 11d6765567 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:あんぴーなっつ | 作成日時:2019年3月18日 17時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。