月と紅、血と奴隷（8-5） ページ22
「……」
「答えろッ！！！！」
俺の静かな問い詰めに閉口してしまう愛の戦士。その態度に肩を揺さぶって怒鳴る。
「だって！！！……だって、俺はァ、……殴る事しか出来ねェんだぞ！？それで……九ちゃんを殺しちまったら、どうすんだよ！！！」
逆に胸ぐらを掴み返され、涙ながらに怒声をぶつけられる。
先ほど受けた傷がぴりっと痛むが、それを噴き出したアドレナリンが相殺する。
「殴るしか出来ないってなんだよ立派な武器だろーが！！！」
「逆に手加減が出来ねェんだよ、俺は何も考えずにぶっ飛ばすしか出来ねェんだよ！！！！」
お互いに殴り合うような勢いで感情のままに言葉を叩きつける。
「九ちゃんの〈能力〉がどんなモンかはわかんねェ……あの怪力は、あくまで強いのは筋肉であって骨じゃねェ。俺のパンチが思いっきり入ったら、ただじゃすまねェ」
俺のシャツから手を離した愛ゴリは、力なく自分の手のひらを眺め、ぎゅっときつく握りしめた。
「……小さかった、細かったんだ。九ちゃんの腕。あんな折れそうな骨じゃ、耐えられねェよ……」
ぽつりぽつりと、小雨のように降り注ぐ言葉の数々に、俺の中の怒りが鎮まっていく。
愛ゴリは責め苦に喘ぐように、涙で顔をぐちゃぐちゃにしながら、尚も言葉を重ね続ける。
「怖くなった……もし、俺の〈能力〉で殺しちまったらって思ったら、足がすくんだ……動けなかった……」
「お前と違って、『ゼロから1を創る』力じゃねェから……九ちゃんを、助ける方法が、見えなかった……ッ」
愛ゴリが発した一つの言葉に、心の核心を貫かれたような衝撃が走った。
『ゼロから1を創る力』？
「なァ、“ ヒーロー ”……」
ドクン、ドクンと心地いい鼓動が崩れかけた自意識に火をつける。
自然と力を抜いていた拳を、固く握り締めて目の前の愛ゴリを見つめた。
「俺を、助けてくれ」
俺の両目からも零れ落ちた大量の塩水を乱暴に拭って、四つん這いになった“ 相棒 ”へ手を伸ばした。
「なら、俺のことも助けてくれよ“ ヒーロー ”」
もう、涙は流さなかった。
＊
「にどみんッ！！まだなの！？」
「まだッ！！……もーちょい」
九ちゃんと戦うみんなはもう疲労が見え始めている。
荒い息を吐きながらにどみさんを伺うバケゆか、それに頭痛を堪えているのか頭を抱えながら苦しそうに答えるにどみさん。
恐らくにどみさんの『指示』を待っているんだ。
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あんぴーなっつ(プロフ) - かおりのさん» コメントありがとうございます！琵琶ちゃぷの話はかなり気合入れたので、感動していただけて嬉しいです！閲覧ありがとうございました(*´ω`*) (2019年9月15日 22時) (
レス) id: 236992ae33 (このIDを非表示/違反報告)
かおりの - めっちゃ面白いです!琵琶ちゃぷの所すごい泣けました！全然ゆっくりでいいので更新頑張って下さい！ (2019年9月14日 22時) (レス) id: a7a49677e4 (このIDを非表示/違反報告)
あんぴーなっつ(プロフ) - ネコさん» コメントありがとうございます！楽しく読んでいただけて私も嬉しいです！閲覧ありがとうございました(^ω^) (2019年7月16日 16時) (レス) id: 236992ae33 (このIDを非表示/違反報告)
ネコ - 毎回ストーリーにドキドキしちゃってます！www更新頑張ってください！ (2019年7月15日 21時) (レス) id: ab4778a323 (このIDを非表示/違反報告)
あんぴーなっつ(プロフ) - すぷらさん» わっ！コメントありがとうございます！mzmn界隈で見たことのある方から感想いただけて嬉しいです！これからも頑張ります(*´ω`*) (2019年5月27日 14時) (レス) id: 236992ae33 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：あんぴーなっつ x他1人 | 作成日時：2019年3月18日 17時
