神域の守り人（5-6） ページ48
《今ッ！！》
〈念話〉で合図を送ると同時に、飽和攻撃を仕掛けていた3人が一気になな湖さんから飛び退いた。
それに唖然とするなな湖さん。なな湖さんの攻撃が、一瞬ぴたりと止まる。
そして入れ替わるように飛び出したこいろちゃん。
それを捉えようと植物を操るなな湖さん。
「させるかっ！！」
そのツタをとりなん先生が氷の柱を生やして止め、それを避けてこいろちゃんが肺いっぱいに空気を吸い込み、飛び上がる。
《バケゆかッ！》
「りょーかい。〈絶縁障壁〉！」
二手。
音を漏らさないようにバケゆかの〈障壁〉でなな湖さんとこいろちゃんを覆う。
バケゆかが両手をかざすと薄紫色の半透明の半円球がフィールドを制限する。
決まれば一発KOできるこいろちゃんの〈能力〉でなな湖さんを無力化する。
「ななくん……《正気にもどっってぇぇえええええええ》！！！！」
「ぐぅっ！？」
至近距離でこいろちゃんの〈超音波〉が炸裂する。
バケゆかの〈障壁〉があっても凄まじいGがかかって、ビリビリと肌がひりついた。
なな湖さんも両手で頭を抱え込むように耳を抑え、必死で爆音を堪えている。
しばらくしてこいろちゃんの〈超音波〉が止むと、バケゆかは〈障壁〉を解いた。
「……どォだ？やったかァ？」
「とりあえず縛るぞ。とりっぴぃ、縄を」
「はーい」
ぐったりと地面に突っ伏したままピクリともしないなな湖さんをみんなで囲んで、まじまじと見つめる。
とりなん先生がとりっぴぃからお手製の縄を受け取って手足を縛りつけようと手を伸ばした。
「……ま、だ……終わって、へん、ぞ……ッ」
「ッ！！」
振り絞るような掠れた声がして、がくがくと震えた頼りない腕が柔らかい土を掴み、焦点の定まらない瞳が俺たちを睨んだ。
もうなな湖さんに俺たちを迎撃できるほどの余力はないと見て取れるのに、それでも絶対に負けないという強い意志が目に燃え盛っていて、思わず気圧される。
闘志は消えてなかった。
「やめなよなな湖！これ以上やったらタダじゃ済まないよ！！」
「……お前に勝ち目はない。大人しく捕まってくれ」
「うるさいッ！！！！」
耳から血を流し、全身に傷を負ってまともに立てもしないのに、まだ戦おうとするなな湖さんを見てmegaちゃんが悲痛に叫び、とりなん先生が優しく諭す。
それを金切り声で拒否したなな湖さんは、懸命に立ち上がろうとふらふらと崩れかける体を支えて、
ゆらゆらと不安定に揺れる瞳からぼたぼたと大粒の涙をこぼした。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 44人がお気に入り
お気に入り作者に追加
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
あんぴーなっつ(プロフ) - 空屋さん» コメントありがとうございます！この話のバケゆかさんなら快く守ってくれると思いますよ笑閲覧ありがとうございました！ (2019年3月17日 13時) (
レス) id: 236992ae33 (このIDを非表示/違反報告)
空屋(プロフ) - この作品ものすごく好きです！バケりんに守られてぇ…！ (2019年3月13日 4時) (レス) id: 8e09062377 (このIDを非表示/違反報告)
あんぴーなっつ(プロフ) - もるさん» コメントありがとうございます！お褒めにあずかり光栄です……！あんまりガンガン更新はできないのですが、完結目指して頑張ります！ (2019年1月30日 18時) (レス) id: 236992ae33 (このIDを非表示/違反報告)
もる(プロフ) - 作風とか設定がしっかりしてて大好きです！混ぜメンのキャラにどれも合っててどのメンバーも好きになっちゃいます 更新大変だとは思いますが、頑張ってください応援しています(^○^) (2019年1月28日 18時) (レス) id: 14f50223ee (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：あんぴーなっつ x他1人 | 作成日時：2018年9月16日 20時
