日向と木陰 (社会人Ver.)

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それからおつまみなんかを少し買ってレジで俺がお会計を済ませる。
そんな俺に、
「生活費は折半だよ！」
と慧が怒るから、じゃあと半分受け取る。

俺が払ったっていいんだ。
まだ恋人なんだし。
けど、こうしたら慧が俺と生活してるって気持ちになって喜ぶかなと思ったから。

現にイキイキとして、
「やっぱり自炊は大事だよね。普段は仕事で疎かになるかもしれないけど、でも出来る時は頑張るね！」
それでさ、それでさ、と買った品物を袋に入れながら、
「節約したお金を貯金してもいいし、心の栄養って事でたまに外デートしてもいいし………ね？」
と俺を見て微笑む慧。

俺、幸せ過ぎてこのスーパーを出たら天に召されるんじゃないんだろうかと不安になりながらも微笑み返す。
そして買い物を終えて恐々外に出ると召されずに、良かった……と思って天を仰ぐ。

帰ろっかとそんな俺が荷物を片手に持って、空いた手で慧と手を繋ぐと、
「…………ゆーと、どんなにふにゃふにゃになってもご飯、作るから。……だから、ゆーとの部屋で、ゆーとのベッドで俺の事、今すぐふにゃふにゃにして欲しい………。」

俺を見上げる大きな瞳。


1ヶ月、頑張った。
熱まで出して慣れない新しい仕事を頑張って、会える、それだけを目標にがむしゃらに日々を過ごした慧。
おまけで俺も。

「………枕、買ってあるんだ。」

ボソッと呟く俺に慧がえっ？と聞き返すから、
「使ってくれる？慧のだよ。」
またボソッと言うと、
「…………うん！！」
と俺の腕にしがみついてきた。

幸せってこういう事かもな……と、でもまだ悟るには勿体ないとも思いながら。

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