日向と木陰 (大学生Ver.)13

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「それで林、どこで働くの？」
俺が手羽先を食べながらそういえばまだ知らなかったなと思って聞くと、
「印刷会社の営業。」
簡潔に答える林にそうなんだと答える。
「営業かぁ。林は愛想が悪いんじゃなくてどんっと構えてて信用できる感じだし、話も短くてわかりやすいから向いてそうだね。」
慧がうんうんと頷いてそう言うと、
「伊野尾、優しいな。まぁ頑張って働くよ。」
林が嬉しそうにビールを呑んだ。


それからはだんだん他愛のない話へと流れていって、高校の時の思い出話に花が咲く。


就職が決まってホッとしたのかいつもより酔っ払ってるらしい林が、
「お前ら一回別れたろ？高3の時の文化祭で。その直後に遭遇した伊野尾が、俺のせいでゆーとと別れちゃったぁってぼろぼろ泣いててさ。かわいそうだけど言ってる事は可愛いし、泣き顔も可愛いしで、あの時の俺の心情はえらく複雑だったぞ。」
なんて饒舌に話した。

でも内容が内容だけに慧が怒って、
「な、ないてないもん！……林のいじわる！！……うぃっく！」
そう言うと林が、
「おぉ、何やら可愛いぞ、伊野尾！」
とそんな慧の頭をわしわしと撫でる。

こどもあつかいするな！と更にご立腹の慧に、ますます可愛い奴だなと、平然と頭を撫で続ける林。


そんなじゃれ合う2人を見て思う。
俺の人生っていいもんだなって。

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