日向と木陰 (大学生Ver.)12

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疲れても俺の恋人の座、全然やめる気ないじゃんとそんな慧にまた可笑しくなってきて、
「俺は慧しか要らないんだから多少ボロボロになっても隣にいてくれなきゃ。……ていうか普通に氷カラカラさせただけなのに、慧のつぼが分かんない。」
笑いながらそう言うと、
「………悔しい。このときめきが伝わらないなんて。……あのね、ゆーとみたいな人に何気なく色っぽい仕草されると本当に大変で……って、ほらぁ、俺、どきどきし過ぎてなんか熱っぽい………。」

慧がグラスを持った俺の手に右手を重ねて、そのままグラスを引き寄せて自分の頬にぴたっとつけて、

「……またゆーとで酔っちゃった………冷たくて、気持ちいい……。」

ふふっと目を細めて微笑む慧。



昼間の喫茶店なら自分で自分を抑えれた。


けど、雰囲気よし、老舗のバー、絵に描いたようなマスター、ほろ酔い、クリスマス。
そしてありがとう、カウンターで手繋ぎ。


去年とは違うじりじりとくる厄介なパワーワードに俺はまた心の中で悶えていると、もう一杯呑んでもいい？と慧が言うからどうぞと上の空で返事をした。


ここは冷静に、冷静に……と思う俺の頭の隅で、なんか分かんないけどマルガリータでと言う慧の声が聞こえる。


そして毎年クリスマスに来るこのパワーワード祭りは一体何なんだ……と悩む俺に徐々にさっきの慧の言葉が反芻され始めた。


………マルガリータ？ピザみたいな名前だけど、結構なアルコール度数のやつじゃなかったっけ？

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