日向と木陰 (大学生Ver.)12

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……けど、一方で疑問も浮かぶ。

なんでそこまでと不思議で仕方がないと繋いでいない右手をじっと見ると、
「どうしたの？」
と慧が首を傾げるから、
「………いや、左手は繋いでて見れないから。……俺の手に何か特別なものが宿ってるのかと思って………。」

じゃないとおかしい。
だっていたって普通の手なのに。

宿るって古風な……と笑ってから慧が途端に落ち着いた澄んだ綺麗な瞳で、


「ゆーとに、触れてたい。それだけだよ。」


甘いけれどどこか凛とした声でそう言った。


それからにこっといつも通り可愛く笑って、
「まぁ単純にゆーとの手がかっこいいっていうのもあるにはあるけどね。……好きな人の手ってさ、なんかいいよね。」
またひと口カクテルを呑んだ。



……今は綺麗に傾いてるな。


確かに大人になっていっている慧が眩しくてときめきと切なさを感じていると、

「………うぃっく………。」

その途端に聞こえてくる超絶可愛いしゃっくり。

俺は右手で顔を覆ってくつくつ笑うのを抑えきれなくなる。

そんな俺に、
「もう！ゆーとってば………ういっ……。」
そこまで出て口を閉じてんっと堪える慧。


必死で我慢するのがさらに可愛いくて、
「……ごめんごめん、でも綺麗で可愛いなんて慧は最高だね。」
誤魔化す様にグラスを指で覆う様に上から持って、カラカラと氷を鳴らす。

すると慧がそんな俺に目を見張ってからふにゃふにゃとろんとなってテーブルに顔を伏せて、
「…………うー………かっこよくてときめき過ぎて、壊れた……。ゆーとの恋人ってだけで疲れる人生……どんとこい……。」

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