日向と木陰 (大学生Ver.)11

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「……ゆーとって、呼ばれてさ。」

俺の突然の言葉に慧が俺を見てきょとんとした顔をする。

「なんか生まれ変わったみたいだった。……後から好きだって事に気付いたんだけど……想ってる人に名前を呼ばれるとこんなにも自分が特別な感じになるんだなって、初めて知った。」

恥ずかしくて海を見て言う。
波に紛れてなら言える気がするから。

「凄い落ち込んでる時は息を吹き返して歩き出せるし、カッコつけて調子に乗ってる時は自分を見つめ直してまたコツコツ頑張るぞと思えて。……ゆーとって、名前、呼ばれるだけなのにね。」


俺は慧の方を向いて繋いでいない方の手も繋いで、
「………ありがとう、いつも大切に俺の名前を呼んでくれて。……優しくて一生懸命で、すごい人だよ、慧は。」

やっぱり恥ずかしいから俯いて言う。
白くて綺麗な手をにぎにぎしながら。


「だから自分の事、意味が無いなんて思わないで？慧には俺がついてるよ。……オマケで林もね。」

慧がふっと笑うのが分かる。

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