きづけ、ばか

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重岡くんがお風呂中です。



うとうとし始めたシゲに、お風呂は入らんとって言うと、「離れたくない〜〜」ってグズります。
なので、重岡くんをお風呂に入れるのは一苦労です。


「不潔な人は嫌い」って言うと一発でお風呂場に向かうのは可愛いけどね。







「あがった！！」

「はやっ」

烏の行水＝重岡の風呂



「ほんまに洗った？」

「ばっちり！匂ってみ！」

匂ってみ！ってなんや…

と思いつつ匂うと、せっけんの香り。

ちゃんと洗ってますね。当たり前やけど。




「うー、寂しかった！」

１０分そこらでよくそんなこと言えるな。


ていうか、

「シゲ、髪乾かさな」

「いやや」

「なんで？」

「もう離れたくない」

大袈裟な。



「風邪ひくで」

「ええもん」

「…体調管理できひん人はきら、」

「乾かしてくる」

可愛いやつだ。




ドタドタと急ぎ足で洗面所に戻っていったシゲ。

やれやれ手のかかる…







と思っていると、秒速でドライヤー片手に戻って来たシゲ。



「俺、髪乾かすの、めんどくさいねんな〜」

「…」

「でもなー、乾かさなあかんし〜どうしよ〜」

「…」



「…乾かしてください」

「最初からそう言って」

まったく、手のかかる。








ソファに体育座りしてるシゲ。

なんでか嬉しそう。


「じゃ、乾かすよ〜」

「はーい！」


ぬれた真っ黒な髪の毛に触れる。

ぶおーんという音に負けないように、声を出す。


「お痒いところ、ありませんかー！」

「いーえ、きもちいですー！」


ほんとに気持ちよさそうにしてネコみたい。









しばらく乾かしてるとふわふわの髪の毛が戻ってくる。

シゲの髪の毛柔らかいな。

洗い立ての髪の毛は良い匂い。



「はい、できた」

「ありがとうなー」

「お会計、こちらですお客様〜」

「金とる？！」

「当たり前」


ドライヤーを片付けながら、そんな会話。




「A〜！はよ横来てや」

「わかったわかった」

シゲのポンポンと叩いたソファに座る。





すると、ぐいっと手を引かれて近付いた顔。

ちゅっと重なる唇。



「お代です。美容師さん」

「〜〜〜〜っ！！」

いまだ、に、これは慣れない…


ぶつかってる鼻と鼻。

いたずらっこな顔してへこんでる左のえくぼ。









「足りないですか？」

「いえっ！じゅーぶんっ、ん、」



首に手が回って来て、



あ、もう、



「ふ、A、かわい、」




逃げられない。

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