きづけ、ばか

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「神ちゃん、それでな今日もな…ユカちゃんの話やった」

「はぁ…よう聞くわ、そんなん。やめたらええのに。」

「…だって、ばかシゲが勝手に話してくるんやもん」


あの重岡に、最近好きな子が出来てしまったのだ。

今まで好意というものを示してこなかったシゲが。あのシゲが！！

ゴハンに行って、初めて私に小さな声でそれを打ち明けてきた時には、心臓が止まるかと思って。
平静を装って「そうなんや〜」なんて言いながらも、食べてたチーズドリアは石を飲み込んでるようだった。

そんなことも知らずにあいつは
「Aだけには言っとかな、と思ってさ〜！やっぱ中学からの付き合いやし？」
とかつらつらと言ってくるわけで。
ここで特別扱いされても嬉しくねぇわ！！ばか！！


シゲが好きな子は、大学で噂が回ってくるほど可愛い子。

私も実際見たけど、ふわふわのピンクが似合う肌の透き通った気が弱そうな可愛い子。

あ〜そういうのがタイプなんだ、と何故だか冷静に思った。
いつもすっぴんでラフな格好してて、シゲと対等にやりあう私とは、正反対のそういうタイプが。


フレンドリーなシゲは、あっという間にユカちゃんと距離を詰め、最近では会うたびその話しかしない。


初めて話しかけたくれた！とか、やっぱり可愛いんよな〜とか、彼氏おらんのかな〜とか。

知らんわ！！ばかシゲ！！

今日のゴハンも、そのど〜〜〜〜〜でもいい話を聞かされるためのもので。

それがわかっていながら、私はそのど〜〜〜〜〜でもいい話の相手の方が絶対に似合うような、らしくない格好して。

メイクだって頑張って。髪の毛だってゆるふわに巻いて。


「合コンなわけないやろ！！『かわいい』とか…言って期待さすなばか！！」


「ばかはどっちや？」


「ぅう…うるさい神ちゃん…」


こんなの惨めすぎる。

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