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しかし、いつまでたっても予想していた衝撃や痛みはこない。目を開けてみると、そこには信じられない光景が広がっていた。

時間が、止まっていた。

そう、文字通り時間が止まっているのだ。アリスに槍を突き出そうとしている、トランプのような者も寸での所で止まっているし、アリスの後ろにいる彼も、腕を振り上げたまま止まっている。そんな中、自分だけ動けるのは、どういうことだろう。

「わたしは、力を与える者。汝は、力を望む者か?」

いきなり、声が聞こえた。声が聞こえた方へ向いてみると、そこには草葉のような緑色の髪(二つ結びにされており、左右の横髪に一房ずつ青い髪飾りをつけてある)、湖の水のような青い目をした少女が、目の色と同じキノコの上に座っていた。

「え、と……あなた、は?」

「わたしは、アブソレム。汝は、力を望むか?」

「力?……それがあれば、この状況をなんとかできる?」

「さぁ?それは、汝の腕次第だろう?わたしは力を与えるだけ」

突然現れた少女――アブソレムに、問いかけられる。力があれば、この状況を打破できるのだろうか。しかしアブソレムの言う通りであれば、例え力を手に入れたとしても、使いようによっては状況の打破には繋がらない。でも。だからと言って、ここで断っては何も変わらない。

「――望むわ。その、力とやらを」

「ならば、与えよう。力を」

その言葉と共にアリスの体は光に包まれる。その光が収まると、なんとなくだが、力が湧いてくる気がした。それと同時に、この力をどう使えば良いのかも、わかった。そこで、止まっていた時間が動き出す。アリスは、迷わず叫んだ。

「――王の守護(キングス・ガーディアン)!」

その瞬間。視界を奪うほどの光が辺りを包み込む。光が収まると、アリスとシルクハットを被った彼を囲んでいる槍を持ったトランプのような者たちは地面に伏していた。そして、視界の端に何かを捉える。それは、汚れひとつない、真っ白な猫だ。その猫は、アリスを守るように宙に浮いていた。さらに、アリスの右手にはいつの間にか派手すぎない、シンプルなデザインのバトンが握られている。

「!?」

「こっちにきて!」

アリスは彼の手を掴むとそのまま走り出した。彼は、突然のことに反応できず、アリスにされるがままだ。

「ダイナ!彼を護って!」

アリスは自分の後ろを走る彼後ろから攻撃をうけないように白猫――ダイナにそう命じる。そして、そのまま走っていった。

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設定タグ:恋愛 , 異世界 , トリップ   
作品ジャンル:ファンタジー, オリジナル作品
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ユエル(プロフ) - クルルさん» コメありがとうございます!不定期更新ですが頑張りますね(^^) (2021年1月11日 13時) (レス) id: 673d6f73a6 (このIDを非表示/違反報告)
クルル(プロフ) - めちゃくちゃ面白い!!!!サイコーです!!続き待ってます!! (2021年1月3日 23時) (レス) id: 297c8a2c3d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ユエル×日向なつ x他1人 | 作者ホームページ:   
作成日時:2017年5月21日 1時

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