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2-17(日向なつ) ページ45

ハッターが帰ってくるまでには時間がかかりそうだったので、アリスは早速できることをと、自分なりに強くなる方法を考えた。

《白の(king)》の力…アリスの使う『王の守護(キングス・ガーディアン)』については、アリス自身もよく分かっていない。
光に包まれた白い猫が現れることと、武器はおそらく手の中に現れるシンプルなデザインのバトンだろうこと。猫の名前は"ダイナ"であること。それから、アリス自身が『任命する』ことで他の者…ハッターに《王妃(queen)》という役職と能力を与えられたこと。役職の証明としてか、チェスの駒を模した白いブローチが現れること。

(うーん…ダメだ。やっぱり、戦い方どころか、分からないことだらけね)

アリスはくるくると髪をいじりながら、首をゆらゆらと左右に揺らした。姉からはよく「コダマの真似?」とからかわれる、アリスの考え事をするときの癖だった。
しばらくそうして考え込んだあと、「…よし!」アリスは勢いよく立ち上がった。

「考えてても分からないなら、動いてみればいいのよね。ーー『王の守護(キングス・ガーディアン)』っ!」

眼前にかざした掌に白い光が集まり、やがて一本のバトンを形作る。妖精の鱗粉のように光の軌跡を残すそれをくるくると回せば、集まった光が白い猫の姿になったーーダイナだ。

「ダイナ! あのね、聞きたいことがあるの。ええっと…あなたとお話しできる?」

愛くるしい白猫はじっとアリスを見上げ、こてんと首を傾げた。

「私が何を言ってるか、分かるの?」こくん。
「すごいわ」ふふん。
「…お魚、食べる?」ふるふる。

「あのね…ダイナ。私、あなたやこのバトン…《(king)》の力のことを知りたいの。手伝ってくれる?」こてん?

ダイナはしばらく不思議そうに首を傾げていたかと思うと、ハッとしたように耳を立てた。

「どうしたの?」

長い尻尾をくるくると器用に回し、ダイナ自身が通れるほどの大きさの円を描く。
すると、そこには白く光る円い穴が現れたのだ。
驚くアリスをちらりと見やると、ダイナはその中へしなやかな動きで入っていく。
ややあって、光の穴から戻ってきたダイナは一冊の大きな絵本を咥えていた。

「これを…読めばいいの?」

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設定タグ:恋愛 , 異世界 , トリップ   
作品ジャンル:ファンタジー, オリジナル作品
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ユエル(プロフ) - クルルさん» コメありがとうございます!不定期更新ですが頑張りますね(^^) (2021年1月11日 13時) (レス) id: 673d6f73a6 (このIDを非表示/違反報告)
クルル(プロフ) - めちゃくちゃ面白い!!!!サイコーです!!続き待ってます!! (2021年1月3日 23時) (レス) id: 297c8a2c3d (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:ユエル×日向なつ x他1人 | 作者ホームページ:   
作成日時:2017年5月21日 1時

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