1-21（日向なつ） ページ26
「――アリス」
ふと、アリスの手を引いていたハッターが立ち止まる。
「うん」
「すまなかった」
「……うん。私も、逃げたりしてごめんなさい」
「それと」
「？」
「その――ありがとう。俺を、信じてくれて」
「……！」
(たすけてくれてありがとう、おにいちゃん！)
(高いところは猫でもないと危ないんだ。気をつけてくれ、小さなお嬢さん)
(うん！)
(じゃあ、これは約束のしるしだ)
照れたように目尻を下げるハッターに、忘れていた記憶が重なって――アリスは目を見開いた。
(この記憶は――あの公園の？ でも、あの黒のクイーンはハッターじゃない。あれは――)
「私ね。小さい頃、ホワイトに会ったことがあるの」
「――ホワイトに？」
「うん。私の通ってた保育園……あ、保育園って、分かる？」
「ホイクエン……？ いや」
「えっとね、なんて言うんだろう。小さい子が、お母さんやお父さんが働いてる間に預けられるところ……かな」
不思議そうな顔でオウム返しをするハッターに、改めてここは異世界なのだと実感する。
「その保育園の近くにね、公園……遊び場みたいなところがあったの。
そこで、私は高いところに登って落ちそうになって……助けてくれたんだ」
「それは……」
「うん？」
「それは、ホワイトなのか？」
アリスは少しだけ考える。
確かにホワイトの顔や声を覚えているわけではない。
だが、あの黒いチェスの駒……あれはホワイトのものだ。
ハッターの胸元に輝く白い
「うん。あれは、確かにホワイトだったと思う」
「……そうか」
「ハッター？」
「あ、いや……少し、考え事をしていた。すまない」
「ううん。――それでね。
ハッターのところから逃げて……ホワイトに会ったの」
ホワイトは優しくアリスを宥めてくれた。
あのときの優しいひとだと思っていた。
それでも、
「ホワイトに、『負けを認めれば一緒にいられる』って言われたとき……できないって思った。
そうしたらハッターにも、あの子達にももう会えないんじゃないかって、そう思ったの。
ずっと好きだった人のはずなのにね」
「アリス……」
「ハッターが迎えに来てくれて、嬉しかった。
あなたが、私の
「お取り込み中わりーけど、話は終わったか？」
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ユエル(プロフ) - クルルさん» コメありがとうございます！不定期更新ですが頑張りますね(^^) (2021年1月11日 13時) (
レス) id: 673d6f73a6 (このIDを非表示/違反報告)
クルル(プロフ) - めちゃくちゃ面白い！！！！サイコーです！！続き待ってます！！ (2021年1月3日 23時) (レス) id: 297c8a2c3d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ユエル×日向なつ x他1人 | 作者ホームページ：
作成日時：2017年5月21日 1時
