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｢え？知り合い……！？｣
｢なぁお前、チェシャだろう！？｣
｢……｣
チェシャと呼ばれた彼は、何も答えない。ただ、彼をみてアリスは驚いた。素人目にもわかる程の大怪我をしていたからだ。体全体に切り傷、というより血の色が目立つ。
いくら彼が黒色のロングジャケットを着ていても、至る所が破け、下に着ているカッターシャツが見え、血が滲んでいるからだ。
さらに、驚くことに彼は、裸足であった。その上、左のスラックスを破いたのか、切ったのか、足首に巻いている。
パッと見ただけで、大怪我とわかる程の怪我を負っているにも関わらず、チェシャと呼ばれた彼は、鞘から剣を抜き、静かに構えた。
｢なぁ、何とか言ったらどうなんだよ！！おい、猫！｣
ハッターは、自身の武器を構えることもせず、声を荒らげて彼に呼びかける。声からしてかなり動揺している事がわかる。
これでは、戦えないだろう。ちらりとハッターの顔を見てみるも、明らかに、ハッターの顔色が悪い。
｢………｣
彼は答えない。そして、剣でハッターへ斬りかかった。咄嗟に盾でその攻撃を防ぐハッター。
ギィィン、という金属が擦れる音がする。そこから、何度か斬り掛かられるも、全て盾で防ぐか受け流すという、先程とは違って防戦一方のハッター。
このままでは埒が明かない。
｢なんで、そんなにボロボロなんだよ！お前は！なぁ、一つくらい答えろよ、チェシャ！｣
ハッターは尚もチェシャに問い掛けるも、彼は、光の無い目で、こちらを見るだけだ。
その目は、生気がないようにも思える。アリスは、答えないチェシャに腹が立ち、思わず口を開いていた。
｢ねぇ、貴方。チェシャ、だったかしら。どうして
ハッターがこんなに一生懸命話しかけてるのに、答えないわけ！？聞こえているんでしょう！？何か、一言でも話したらどうなのよ！｣
｢アリス……｣
アリスにまで言われたチェシャは、立ち止まって漸く口を開けた。しかし、すぐに閉じてしまった。
という事は、聞こえているという事だ。なら何故、
彼は話さないのだろう。話せない理由。それが、分からない。
ハッターもまだ動揺が治まっていないらしく、｢くそっ｣と小さく零し、目の前の彼を見ているだけだ。
｢早く始末しろ。お前の役目だろう？｣
動かなくなったチェシャにホワイトは痺れを切らしたのか、そう告げる。言われた彼は、再び剣を構え、
ハッターへ斬りかかった。
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ユエル(プロフ) - クルルさん» コメありがとうございます！不定期更新ですが頑張りますね(^^) (2021年1月11日 13時) (
レス) id: 673d6f73a6 (このIDを非表示/違反報告)
クルル(プロフ) - めちゃくちゃ面白い！！！！サイコーです！！続き待ってます！！ (2021年1月3日 23時) (レス) id: 297c8a2c3d (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ユエル×日向なつ x他1人 | 作者ホームページ：
作成日時：2017年5月21日 1時
