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それから数日後。アジトだと
言われる場所にやっと着いた。

休んだりしてはいたのだが、さすがに疲れた。
ゼェゼェ、と息を整えようとすると、後ろから。
後ろから、私の大好きな声が聞こえた。

サソリ「……よォ、A。また一段と…
美人になったじゃねぇか。」
「……っ、さ、さそ、サソリ、様。」

涙が出そうだった。出なかったけれど。
サソリ様の体は完全に傀儡になっていた。
関節には繋ぎ目の線があり、
嗚呼、もう体は人じゃないのね。
そう思ってしまった。

「よかった、生きて、た。」
サソリ「当たり前だろ。俺は死なねぇよ。」
「っ、」

ついに、涙が零れた。彼は生きている。
その言葉だけで私は、神に救われたような
気持ちになった。

サソリ様の手に触れる。
もう、無機質な手になってしまった。
けれど、生きているなら。それでいい。


「…サソリ様。昔話しましょう?」


私は、悪に堕ちてしまったのかもしれない。

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作者名:舞中蠍 | 作成日時:2019年10月25日 21時

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