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告白その2 ページ3

*



「A、おはよう」


「おはよ、轟くん」


朝会うと、轟くんは必ずあいさつしてくれる。


彼とは普段からあまり話さないけど、告白されたあの日からは、あいさつ以外にも言葉を交わすようになった。


例えば、好きな食べ物の話をする。


「俺の好きな食べ物は、あったかくない蕎麦だ」


「あったかくない蕎麦…」


なんだろう、言い方がとてもかわいい。


そして蕎麦を食べる時の微妙に嬉しそうな表情も、なんだか微笑ましく感じる。


「私の好きな食べ物は、ハンバーグかな」


「子供の好きな食べ物の王道だな」


「そうみたいだね」


お互い好きな食べ物を食堂で頬張りながら、のんびりとそんな話をする。


轟くんと話していて分かったことは、彼は結構天然で実は優しいということだった。


わざわざ「冷たい」を「あったかくない」と言ったり、さりげなく飲み物を取ってきてくれたり。


私とは違う世界の人なんだと思ってたのに、最近は轟くんを身近に感じる。


それがなんだかとても嬉しいのだ。


「そういえば、Aは猫が好きなのか?」


帰り道、少し暗くなった空を見上げながらそう尋ねてくる轟くん。


今日は偶然帰るタイミングがかぶって、寮まで一緒に歩いていたのだ。


「うん。どうして?」


「いや、そのキーホルダーも猫だから」


「あぁ、これ?」


鞄についている猫のキーホルダーをそっと握る。


「お姉ちゃんがくれたの。宝物なんだ」


お姉ちゃんがこれをくれたから、私は猫が好きになった。


元気かなぁ。お姉ちゃん。


「そうか」


それっきり、長い沈黙が続いた。


でもそれは気まずいものなんかじゃなくて、少し心地よいものだった。


なぜだか、轟くんと一緒にいる時間が愛おしい。


*

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婾纚儺 - ほっこりホコホコ (2018年12月2日 8時) (レス) id: abf7718af2 (このIDを非表示/違反報告)
れの(プロフ) - メダカさん» ほっこりしていただけたのならとても嬉しいです!コメントありがとうございます! (2018年8月25日 22時) (レス) id: 6cc8b71c99 (このIDを非表示/違反報告)
メダカ - 番外編も可愛かったぁ〜(*´∀`*)ほっこり(*´`*) (2018年8月25日 18時) (携帯から) (レス) id: 238af52e71 (このIDを非表示/違反報告)
れの(プロフ) - 杏さん» わかりにくくて申し訳ありません!もともと急須にお茶が入ってて、その急須に入っているお茶をティーカップに注いでいるという状況です。 (2018年8月21日 10時) (レス) id: 6cc8b71c99 (このIDを非表示/違反報告)
- 急須にお茶いれてるんじゃなくて、ティーカップなんですか?? (2018年8月21日 9時) (レス) id: 664b772586 (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:れの | 作成日時:2018年8月19日 21時

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