酒場のマスターはトリッパー II

50杯目 ページ2

「今日はどうかされたんですか？」

やはり気になってしまった。

何もなければそれでいいんだけど・・・

「・・・さすが、わかりますか？」

あったんだ、

「えぇ、なんとなく」

彼は眉を下げて微笑んだ。

「実は僕、好きな人がいまして」

「まぁ」

まじかよ恋バナかい。

恋愛未経験者になんちゅう試練を課すんだ。

「その人にはまだ自分の気持ちを伝えられていないからこんなことを言う権利なんてないですが・・・。
以前その人が他の男性と抱き合っているところを目撃してしまいまして・・・」

あぁ〜〜・・・

修羅場だ←

あれか、告る前に振られた的な。

「彼女とどんな関係なのか気になってしまって、もし恋人同士だったらどうしようって・・・」

ダメだ、これは私が何か気の利いたアドバイスをしなきゃいけない雰囲気だ・・・！

ないよそんなの！

「その前にあなたは彼女との関係をどこまで発展させてるんですか？」

「え？」

いきなりの質問に常連さんは驚いた顔で私を見た。

「悩む前に打開策を考えないと、何も始まらないですよ」

そうだね、この場を切り抜ける打開策があればいいなぁ。←

「えっと、まだ向こうは僕のこと顔見知り程度にしか思ってないと思います・・・」

うんうん・・・

え？

「はい？」

すいません、今なんて？

「好きになったのはいつからで？」

「昔という言葉を使ってもいいほど結構前で

「遅い」

「えっ⁉」

「あなたみたいなイケメンに好きになってもらえるってことは相当な美人さんなんでしょう。
そりぁあそれだけ遅ければ取られもしますよ！」

「う"っ、返す言葉もない・・・」

「けど、だからといって諦めるのは早いですよ！
その男性が彼女の恋人とはまだわからないですから、今からでも遅くはない。友達から始めてどんどん関係を発展させましょう！
まずは話したり関わったりすることから始めましょう！！」

「そ、そうですね！ 僕頑張ってみようと思います！」

暗い表情から一変して、やる気に満ちた顔で頷く彼。













その恋、叶うといいですね。

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