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「それにしても奇遇だね。まさかキルがハンターになりたいと思っていたなんて。」
「…Aが試験を受けに来た理由は、何となくわかるんだけど。」
突然苦手意識をもつ相手から名を呼ばれ、ビクリとする少女。苦手だ、あの何考えてるかわからない目が苦手だ。
「…別になりたかった訳じゃないよ。ただ何となく受けてみただけさ」
「……そうか、安心したよ。それなら心置き無く忠告できる。」
「お前はハンターに向かないよ」
「お前の天職は、殺し屋なんだから。」
無機質に発せられるその言葉に、ピクリと反応したのは少女。先程まで少し怯えたような表情だったのが一変し、キッとイルミを睨みつけていた。
「お前は熱を持たない闇人形だ」
少女はその言葉に眉を顰める。この言葉、何処かで。
「自身は何も欲しがらず、何も望まない。」
「陰を糧に動くお前が唯一、歓びを抱くのは人の死に触れた時」
「お前は親父と俺にそう作られた」
「そんなお前が何を求めてハンターになると?」
「…確かに、ハンターになりたいと思ってる訳じゃない。」
「だけど、俺にだって欲しいものくらいある」
「ないね」
ふつふつ、と少女の中で何かが煮えたぎる。イルミが喋る度にぶちぶちと頭の中の血管が切れそうだ。
「…ある、ある!!今望んでる事だってある!」
「ふーん」
「言ってごらん、何が望みか」
「…っ」
「どうした?本当は望みなんて無いんだろ?」
「違う!!」
否定したはいいが、またキルアが黙る。そんな中、キルアと少女の目が合った。青と黄の視線がぶつかり、キルアは唾を飲み込んで口を開く。
「……ゴンと、Aと……友達になりたい。」
消えてしまいそうな小さな声だが、少女の耳にはハッキリ聞こえた。イルミに対する怒りを一瞬忘れ、キルアに魅入る。
「もう人殺しなんてうんざりだ。普通に、ゴンとAと友達なって、普通に遊びたい。」
どくり、と少女の心臓が動く。目の奥が熱くなり、口が自然に開く。「私も同じ気持ちだよ」と、そう叫ぶつもりだった。
「無理だね。お前に友達なんてできっこないよ」
イルミの、そんな無慈悲な言葉が出るまでは
「っ!てめぇ!!」
今にもイルミに殴りかかろうとする少女を、クラピカとレオリオが抑えつける。勿論、キルアを思っての行動だ。
イルミはそんな少女を一瞥してから、キルアに向き直った。
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かぴばら2(プロフ) - ネオさん» コメント今気付きました!申し訳ないです!思わず零れたような好き、ありがとうございます!!!これからも更新頑張ります!! (2021年2月17日 21時) (レス) id: a02d4950c9 (このIDを非表示/違反報告)
ネオ - 好き、 (2021年2月4日 20時) (レス) id: 58fc4bb18d (このIDを非表示/違反報告)
かぴばら(プロフ) - 赤トンボさん» いや、優しさに甘えてはいけません!!(戒め)少し前まで鬼滅で息を吸ってハイキューで息を吐く生活だったので、次からHHで息を吸ってこの作品で息を吐く生活に戻します!もう末期ですね!本当にありがとうございます!更新頑張ります!! (2020年4月11日 7時) (レス) id: 90b4b3f2c9 (このIDを非表示/違反報告)
かぴばら(プロフ) - レイカさん» ち、違うんだ!あいつらが、あいつらが誘惑してきたんだー!!!この世はエモい物に溢れすぎている…。土曜日とは言ったものの深夜帯になるかもしれません!!申し訳ない!ミュージカルアニメ漫画見ていっぱい更新するぞ!! (2020年4月11日 7時) (レス) id: 90b4b3f2c9 (このIDを非表示/違反報告)
赤トンボ - 最近この作品を見始めました。とても面白いです!鬼滅とかハイキューなど面白いのでしょうがないないですよ(笑)作者さんのペースで話を書いても全然大丈夫ですよ! (2020年4月10日 11時) (レス) id: d4227617d6 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:かぴばら x他1人 | 作成日時:2019年9月11日 0時