+１５３+それでいい ページ8
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７年前の冬に手にした「私の世界」は閉鎖的なものだった。
必要なものは自分自身、「巳國A」という存在と
それを立証してくれる、絶対の存在である「恭弥さん」
ただその２つに限っていた。
そのほかは空気中に漂う塵と同じ。
そこに存在しているにもかかわらず、目にも入らないものだった。
…それ程までに私にとっては不要なものだった。
そう思っていた。
それがいつの間にか、たった一言。
名前を呼ばれただけ
それだけが切っ掛けで引き込まれて料理しただけ。
でも、その「〜〜だけ」を少しづつ積み重ねていって
気が付けば、沢田綱吉という存在を中心に起こる突飛な事象に巻き込まれて
そうしてジワジワと広がった視界に、彼らがいた。
確かに「だけ」と称せる程に彼らとの関わりも些細なものだった
しかし、現に私は多少なりとも変わっている。
…まぁ、物は試し。
「超一流家庭教師」が言うなら、まずは意識から始めよう。
「歪とは言ったがな」
一人で色々考え込んでいたら声が聞こえ、反射的にそちらに視線を投げた。
今度の彼はほくそ笑むでも、神妙な面持ちになるでもなく
至って普通、ただラフにこちらを見つめていた。
視線が交わって、赤ん坊くんの言葉の続きを待てば
彼は私の表情を見てから、いつものように口角を上げた。
私の顔を見て一体何を伺ったのかは分からないが
その笑みは満足気で、深読みすればそれは何かに納得したような笑みだった。
「お前らの繋がりそのものを全否定するつもりはねぇぞ
お前たちの繋がりはファミリーにおいても重要な役割を果たす。
なにより、お前らは…、お前は“そういう存在”であるのがいいんだ。」
自信満々、というのが正しいのだろうか。
そんな具合の笑顔を向けてくる赤ん坊くん。
結局のところ何を言いたいのか、正直私にはわかり兼ねるが。
「だから、中身は切り替えて行動は好きにしろ。
…心配すんな、お前は間違ってないぞ」
いつもの、その笑みを絶やさず言う。
極論、彼は敵ではなくどちらかというと
味方という言葉よりな、それではない存在
無理矢理何か名称を付けるのならサポーター的存在だと思っている。
自分がどうあれば彼の思惑にそぐうのか分からないが
『…なら、私は私になろうと思います。それが自分のためだと思うから。
…それが貴方の企みに沿うのかまでは知りませんけど』
まずは中途半端な私から私自身を確立するところから始めようと思う。
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睡-ｽｲ-(プロフ) - 阪サッカーさん» お返事遅れました、嬉しいコメントありがとうございます！地道に更新頑張らせていただきます！ (2020年7月9日 17時) (
レス) id: deb52841c7 (このIDを非表示/違反報告)
阪サッカー(プロフ) - 面白くて、読み応えがあって、何より続きが楽しみです。お身体に気をつけて、無理しない程度に頑張って下さい。 (2020年6月16日 21時) (レス) id: d96a890ddc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：睡-ｽｲ- | 作者ホームページ：https://twitter.com/sleep_d_urtk?s=09
作成日時：2020年5月3日 14時
