+１９５+上昇霧 ページ50
ＰＭ３：３０
私と２人のやりとりに言葉を挟めずに
でも何かを言おうと口を少し開け、困ったような表情で立ち尽くしていた。
自分の背中側に彼女が居て、気付いていないのか
男たちは、というより城島犬は言葉をとどめないので
鉄扇を手に取り、ビシッと面を閉じたままの弧をその顔に向けた。
「っ……。」
『しつこい。時間もあまりないんです。
これ以上邪魔しないでくださいませんか、矯正しますよ。』
「まって…！」
知人？仲間？の男と私の…
その光景に慌てたように彼女は前に出てきて口を開いた。
「骸様が言ってた、女の人が…貴女が会いに来るって。」
「何しに、来たの…？」と付け加えて。
…あの男、事の経緯や目的を伝えていないのか。
待ったく、まどろっこしい。
____彼女に貴女の戦闘スキルを教えてほしいんです
貴女だからこそですよ。
女性と子供が危険にさらされることを嫌い、誰よりもそれに甘い
見捨てることが出来ない貴女は、断ることはないでしょうからね。
代わりといっては何ですが、試してみますか?
今の僕に提供できる交換条件は、これくらいですが。
『…六道骸の代理で、霧の守護者の任を任されているそうですね』
「うん…」
『勝てる見込みは？』
「……わからない。」
『でしょうね…。
聞けばつい先日まで拳をふるったこともないただの女学生。
命をかけた戦いに参加するにはあまりにも不釣り合いな…ただの少女。』
私の言葉に視線を下に彷徨わせる少女と
目つきを鋭くする柿本千種、声を漏らしつつ例のカートリッジを手にする城島犬
敵意を肌で感じつつ、それを一瞥してもう一度彼女と向き合う。
『だから、頼まれたんです。』
「…えっ」
『貴女がこの戦いで生き延びるための術を、
あの男が幻覚の能力を貴女に分け与え、私が格闘術を教授します。』
突然の私の進言に３人そろって雰囲気が、感覚が緩んだ様子
呆然。その一言に尽きるようで言っては失礼だが、その顔は間抜け。
クローム髑髏に近づき、彼女が抱える長物…三叉槍に手を添える。
それを取ろうとすれば、怯えたように握る力を強め
か細い声で「だめ、これは…ダメ」というので握る手にもう一方の手を添え
「大丈夫、それも知ってますよ」と呟けば、少しその力が緩んだ。
そのままスルリと手を引かせて、武器を拝借。
数歩離れて頭上でヒュンヒュンと風を切りながら慣らすように、扱う。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 187人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「原作沿い」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
睡-ｽｲ-(プロフ) - 阪サッカーさん» お返事遅れました、嬉しいコメントありがとうございます！地道に更新頑張らせていただきます！ (2020年7月9日 17時) (
レス) id: deb52841c7 (このIDを非表示/違反報告)
阪サッカー(プロフ) - 面白くて、読み応えがあって、何より続きが楽しみです。お身体に気をつけて、無理しない程度に頑張って下さい。 (2020年6月16日 21時) (レス) id: d96a890ddc (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：睡-ｽｲ- | 作者ホームページ：https://twitter.com/sleep_d_urtk?s=09
作成日時：2020年5月3日 14時
