+１９２+夢からの干渉 ページ47
.
夕食の時、恭弥さんは思い出したように当分帰るか分からないから、と仰った。
特に変わったやり取りはなく、そのあとは各々就寝準備。
挨拶をして部屋に戻ろうと思ったとき、ふと
『…あ、』
「なに？」
『ご不在の間。私の指南役の方をお招きしてもよろしいですか？』
少しだけ間が空きつつも「好きにすれば」と立ち去っていく。
お礼とともに寝る前のあいさつをして私も部屋へ向かう。
後ろ手に閉じた部屋の戸にトン…と背を預ける。
デスクワークを数時間ぶっ通しでやるよりもずっと疲れた気がする。
活動内容自体はあまり濃密なものではないのに頭を酷使したような…
事務的な仕事も残っていないことだし、今日は早く眠ってしまおう。
事前に敷いていた布団に身を預け
横に寝返れば、机の上に置かれた指輪が目に入った。
月夜に照らされたそれは、昼の陽光を浴びた姿とはまた違った輝きに見える。
『…はぁ』
溜息しか漏れない。
８割くらい、腹はくくったけれど不満や文句が消滅したかといえばNOだ。
目をそらすように反対側に寝返り、目を閉じた。
＊＊＊
＊＊
＊
＊＊
＊＊＊
ハッと、目覚めた。
目が覚めたまま、天井を眺めるように数秒動作はできずにいた。
遅れて起動し始めた脳が体を起こす指令を出し覚束ないままに上半身を起こした。
膝元にかかるかけ布団の感覚がやっと肌に感じられるようになり
夢見心地のまま、ふわふわした感覚が次第に抜けていく。
私は朝、たった今まで目を開いた覚えはない。
だが、私が見たあれは夢、なんてものではないはず。
…あれを夢と仮定して、なんで夢の中にあの男が……？
あの夢にはあの男の明確な意思を感じた。
あの夢でのやり取りは、私の言葉・感情をしっかり表現していた。
…間違いなく、私はあの男と“会話”していた。
『なんで……。』
なんで…今更私に干渉してきたのか
干渉されたのだとしても、応じる必要はなかった。
だが、アイツの話が本当なのだとしたら
“他”はさておき、“その子”には会わなくては。
『……なんなの、本当に。』
敷布団の上、座ったまま前髪を荒く掻き上げクシャリ、と押さえつける。
本当ならば搔き乱したい位にはストレスを感じたが
今から着替えたり、始まるであろう修行の支度をしたいから耐えた。
…修行に加えて向かわなければならない場所もできたことだし。
今日から１日ごとのタイムスケジュールが大変そうだ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 187人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「原作沿い」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
睡-ｽｲ-(プロフ) - 阪サッカーさん» お返事遅れました、嬉しいコメントありがとうございます！地道に更新頑張らせていただきます！ (2020年7月9日 17時) (
レス) id: deb52841c7 (このIDを非表示/違反報告)
阪サッカー(プロフ) - 面白くて、読み応えがあって、何より続きが楽しみです。お身体に気をつけて、無理しない程度に頑張って下さい。 (2020年6月16日 21時) (レス) id: d96a890ddc (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：睡-ｽｲ- | 作者ホームページ：https://twitter.com/sleep_d_urtk?s=09
作成日時：2020年5月3日 14時
