+１６７+消化不良 ページ22
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並中に向かい歩きながら先程の男との短いやり取りを思い出す。
足取りは普段と変わらない、顔にも出していないはず。
それでも心中穏やかではなかった。
理解はしていたつもりだった
近接格闘が主な私は年上の成人男性に腕力で負けてはいけない事を
それでも、一般人にはもう後れを取らない自負があった。
だから最近はそれほど気にしていなかった。
それが今になって、「一般人」という枠を超えることによって
自分に足りない要素として直面したのだ。
確かに私は腕力だけで近接格闘を力押ししているわけではない
色々頭を使って、男性が腕力で勝るのなら女性の柔らかさやしなやかさを用いて
試行錯誤の結果今の形にまで持ってきた。
最後の、あの局面だけで不貞腐れるのは間違っていると分かっている
それでも一方的に切り上げられて
不満が多いに残った状態で逃げられて正直不完全燃焼だった。
ガラリ、と応接室の扉を開け放つ。
中の彼は机に向けていた視線をちらり、と一瞬だけ持ち上げて
開けたのが私だと判断すれば視線はまた机に戻した。
「珍しいね、開け方が雑だから知らない人間かと思ったよ」
個人的にはただ横にズラしただけで
個人的私情や感情を漏らすようなヘマはしたつもりがなかったが…。
でも、隠しきれないのだったら隠す必要はないか。
『街中で少々問題がありまして、その報告に戻りました
…が、それとは別に。あとで１０分程度でも良いのでお付き合い願えませんか』
「…へぇ、君からの要望なんて初めてじゃないかい？」
『…少し、消化不良でムカムカしているんです』
私の言葉を聞くと、卓上に握っていたペンを転がし
視線をもち上げ、口元をスッと緩めた。
「いいね、退屈してきたところだよ。報告は…上で聞こうか。」
そう言って立ち上がった彼の手には
机の陰に隠れて見えなかったが、しっかりとトンファーが握られており
視線が交わったその目は真っ直ぐ私を見つめる。
戦いの獲物として、しっかり私を捉えていた。
その目に恐怖を抱くものが多くいると知りながら
私は逆にその目を見て、高揚に近い何かを感じていた。
ここまでくると認めざるを得ないか。十二分に私も戦闘狂らしい。
思わず口元が弧を描く。
『よろしくお願いいたします。』
屋上の風を身いっぱいに受けて、すぅっと空気を取り込み、吐き出す。
横を通り過ぎて中央に立つ彼の方を見る。
太腿のホルダーに収まる鉄扇を構え、パッと開くと駆け出した。
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睡-ｽｲ-(プロフ) - 阪サッカーさん» お返事遅れました、嬉しいコメントありがとうございます！地道に更新頑張らせていただきます！ (2020年7月9日 17時) (
レス) id: deb52841c7 (このIDを非表示/違反報告)
阪サッカー(プロフ) - 面白くて、読み応えがあって、何より続きが楽しみです。お身体に気をつけて、無理しない程度に頑張って下さい。 (2020年6月16日 21時) (レス) id: d96a890ddc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：睡-ｽｲ- | 作者ホームページ：https://twitter.com/sleep_d_urtk?s=09
作成日時：2020年5月3日 14時
