+１６１+伝染 ページ16
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彼は至極不満げな表情をうかべる。
その手が静かにトンファーに添えられるのを間近で感知しつつ
彼へ向けた視線は一切揺らぐことなく
表情を歪めた際に少し細められたその目を見つめ続ける。
「…急に変だね。君、そんなに頑固だったかい？」
『元からこれに関しては頑固であるつもりですよ。
…まぁ、それで貴方に煩わしがられることは多々ありましたけど』
「分かってるのに歯向かうんだ？」
怒気、といったら少し違う気もするが
その言葉に合わせ、それに近い空気を纏う彼に少しばかり焦る
今恭弥さんに武器を取らせ、暴れられたら
態々リスクを冒してまで止めている意味がなくなってしまう
だからといって単純に「ダメだ」という
制止の言葉１つで止められるかといえば、答えは否だ。
『歯向かう、つもりはなかったのですが
貴方からしてコレを楯突くと同義だと言うのなら否定はしません。
見たところ、大きな傷を作った場所にまだ包帯を施されていますし
それが医師の判断で外されるまで…少なくとも２日はお休み頂きます。
…手負いの貴方の足を引っ張り無茶させた私が言うのもおかしな話ですが。』
私の言葉を聞いた彼の鋭い雰囲気が少し、柔らかくなった。
…柔らかく、と言うよりは呆れにより固さを失ったというか…
鋭さを失い、鋭角が広がり鈍角になったというか…。
丸みを帯びることはなく、その切っ先は向けられつつも
殺傷能力は著しく低下している、というのが最も近い表現かもしれない。
雰囲気で感じとれた「呆れ」がため息という形で体現され
それに対し、私は困ったように眉を下げて口元を少し緩める他ない。
その様子を恭弥さんは訝しげに一慶する。
が、「もういいから、帰りなよ」と少々投げやりに一言返す。
そのまま起こしていた体をベッドに預けて
ゆったりと目を伏せ、美しい曲線を描く瞼は揺れることなく彼は再度眠る。
実際はまだ意識は浅瀬をたゆたっているのだろうが
無駄に接触を図るより、私は一度この場を去るのが正しいのだろう。
そう判断し、一応軽く会釈をひとつ残して退室した。
パタン、とも音を立てずに静かに閉じた扉を一瞥して
少々訛ったな、と感じさせる重たい体を動かし、前へと歩を進めた。
彼が戻るまでに体の感覚を戻して置かないと…
歩きながらグッ、グッと上半身を伸ばしつつ
今後はどうやって体を鍛え直すか、左手の自由度をどう底上げしようか
と、まるで私自身が戦闘狂のように色々追求していた
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睡-ｽｲ-(プロフ) - 阪サッカーさん» お返事遅れました、嬉しいコメントありがとうございます！地道に更新頑張らせていただきます！ (2020年7月9日 17時) (
レス) id: deb52841c7 (このIDを非表示/違反報告)
阪サッカー(プロフ) - 面白くて、読み応えがあって、何より続きが楽しみです。お身体に気をつけて、無理しない程度に頑張って下さい。 (2020年6月16日 21時) (レス) id: d96a890ddc (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：睡-ｽｲ- | 作者ホームページ：https://twitter.com/sleep_d_urtk?s=09
作成日時：2020年5月3日 14時
