+１０８+キミは何？ ページ13
.
男は掴んだままの私の足をグッと上げつつ半歩詰め寄り
顔を近付けると目を細め、笑んだ。
「そう焦らないで。まだまだ時間はあるんですから」
『君に割く時間なんて持ち合わせていません、こっちは忙しいので』
嫌悪を隠すことなく冷たくあしらえば男は一層、笑みを深めた
「雲雀恭弥」
男の口から恭弥さんの名前が発せられた一瞬
幼子の隠し事が親にバレた瞬間、それと近からず遠からずな感覚
動揺、とまでは行かないだろうがピクリと反応してしまう。
それを満足そうに見つめる男。腹ただしいことこの上ない。
「彼とはどういう関係なのでしょう？
見たところ誰かと行動を共にするようなタイプには見えませんでしたが」
『見たところ…。つまりは、彼と接触した、と？』
「えぇ、歓迎しましたよ。美しい桜の舞い散る部屋でね。」
『？ 桜…？この時期にそんなもの、』
「クフフ、貴女にとっては俄に信じ難いでしょうが…
あぁ、そう。その雲雀恭弥なら今僕の所で休んでいますよ。」
目の前にいる男との話が噛み合わない。
その違和感が、男の笑みが、無性にムカついた。
コイツは強い、それは認めざるを得ない。
ここで意地を張って相手を侮るほど私も馬鹿ではない。
…でも、恭弥さんが？
男の言葉を頭で理解しようとすると熱が駆けるようにカッと熱くなった
ペンを持つ手をギュゥッと強く握りしめることで熱を逃がす
ここで熱くなっても仕方がない。
落ち着け。
格上かもしれないと気付いたならば一層、冷静さを欠いてはいけない
握りしめた手から熱を逃がし、残った熱も深く呼吸をすることで逃がしきる
それより気になったのは
「…意味が分からない、君はここにいるのに“僕の所”だなんて」
『まるで、ここにいないかのようだね』
抱いた不信感をそのまま口にすると愉快そうに「えぇ」と答える
『…つまり“
「……さぁ、なんなんでしょうね？」
…随分と煽るのが上手なんだねと、静かに苛立つ
とりあえず、クツクツと笑うその顔はもう見飽きた
掴まれた足とは逆の足で思いっきり地面を蹴り上げる
その時、宙で腰をグッと捻ることで掴まれた足を軸に
体を仰向けからうつ伏せの方向に回してから
トトン、と蹴りあげた足と掴まれていた足を地につけて着地
少し形は違うが走り高跳びのベリーロールの応用
本当は顎も狙っていたが、何よりの狙いは足を離させる事
ひとまず及第点
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 325人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
睡-ｽｲ-(プロフ) - ますしんさん» ますしん様コメントありがとうございます！そうなんですよね…昔はさほど気にならなかった辺、大人になったからこその損得勘定なのでしょう…大人になんてなるもんじゃないですね…←なるべく濃く書くことを意識するあまり直ぐ話がいっぱいになってしまいますが… (2020年2月6日 15時) (
レス) id: 3400204ee2 (このIDを非表示/違反報告)
ますしん - 確かにその差にツッコミたくなりますよね。お気に入りするんなら評価もできるだろ！って…この作品、内容が濃くて読んでいて楽しいので更新速度低下は悲しいです…それでも見続けるので更新頑張ってください！！ (2020年2月6日 15時) (レス) id: 378183aadc (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：睡-ｽｲ- | 作者ホームページ：https://twitter.com/sleep_d_urtk?s=09
作成日時：2020年1月25日 16時
