+５２+赤い顔 ページ5
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距離感には驚いたけれど、いつものイケメン耐性というやつで
脳内で「あ、この人も整った顔をなさってるなー」と思って終わった。
そういえば、彼と私って身長差１０センチ程だったか？
普段から私の頭頂がだいたい彼の鼻辺り。
凭れ掛かる様に寄れば顔が真隣にあってもおかしくないか
私がこんな風でも、山本くんがあまりの近さに動揺。
顔を真っ赤にして「悪ぃっ」なんて謝罪されたからびっくり。
普段フワフワ、というか…天然であり明るい性格をされてるので
こういうのでは何事も無かったように事を終える人だとおもってた
年相応というか、
同い年の癖に…むしろ私が年寄り臭いのだろうか？
…いや、イケメン耐性を植え付けた彼が悪い。
ひと騒動起きると、何故かその原因は沢田くんのせいに。
そりゃ沢田くんのせいというより彼らの遺伝のせいだと思う。
相も変わらず不憫というか、…うん。
途中、なだれ込んできた看護婦とは別の人が来た。
その看護婦が主任さんに耳打ちすると少し驚いた顔をした。
そのまま「んんッ！」と咳払いを１つ。沢田くんと向き直る。
沢田くんはまた部屋を移動するらしい。
そして私は主任さんに先程の看護婦たちのことを謝罪された。
…恭弥さんの知り合いってだけでこんな腰を低くされるのか。
「それから、あの患者さんの移動先は雲雀様のお部屋になるのですが…」
おずおずと先程とは打って変わった態度に少しむず痒さを感じたが
それより彼女の話した内容の方が重要だ。
恭弥さん、騒ぎを聞き付けて病院の人に言いつけましたね…
小さくため息を漏らすと「私も同行します」と伝えた。
私が着いてくることに違和感を感じているのかチラチラと
私の方を見てくる沢田くんに心の中で謝罪と
憐れみを捧げた。
歩いている時に一度沢田くんと視線が完全に合ったが…
これから酷い目に遭うであろう彼。
それを知っておきながら黙認する自分というのが何とも言いにくく
思わず視線を斜め下に逸らしてしまった。
そして気がついたら、彼の部屋。
扉を開く前から「うっ…」「ってぇよ…」とか虫の息の男の呻き声
あぁ、私が部屋を出ているうちに被害者が増えたのは明白。
なるべくでいいから抑えて下さいと頼んだのに。
この死地のような場所に沢田くんを放り込むのは些かながら、気が引けた
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作者名：睡-ｽｲ- | 作者ホームページ：https://twitter.com/sleep_d_urtk?s=09
作成日時：2019年9月23日 16時
