【REBORN】何が一般的かなんて分からない (ページ35)

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+８２+夏祭りページ35

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「居間、使っていいよ」

夕刻、書類整理が終わるとそう言って自室に戻られた。

居間を使う、と言うのは
視界の端に残っていた浴衣(あれ)を着ろってことでいいのか？

近付いて眺めれば、より一層綺麗で着るのも烏滸(おこ)がましくなる。

この家には和装が多くあるがどれもこれも質の良さそうなものばかり
そういえば昔お会いしたお母様も和装をお召しになられていたか

一応、私も恭弥さんに渡され部屋着として使える
比較的ラフな和装を所持しているが
なにぶん施設にいた時まで洋装で過ごしていたため週末しか着ていない

着ていた服を適当に脱ぎ捨てながら考え事

透き通るような白地に電灯の明かりをキラキラと反射させる銀のラインが走る
美しい牡丹と蝶が薄紫と薄い桃色のグラデーションを彩っている

ほぅ…とため息を吐きたくなるような儚げ、かつ艶(あで)やか

あまり慣れているとは言い難いが、サクサクと着付け作業を進める

帯締めには多少苦労したが…
まぁ、それなりに様にはなっているんじゃないか？

髪は…上に結ぶだけじゃだめだろうか？
でも、これだけ良質な浴衣を身に纏っておいて何もしないのは失礼か？
…せめて団子にはするか。

装飾品なんて私は持ってないが
和装と共に仕舞われていたりしないだろうか？

諸々の準備を終えると丁度日は落ちてかけて祭りの時刻が間近に
頃合いだと思い、部屋で休まれているであろう恭弥さんを呼びに行く

部屋の前に立ち３度ノック。

『恭弥さん、そろそろ参りましょう』

微かに物音が聞こえた
眠っていたのかもしれないが今の声で起きたのだろうか

３分としないで恭弥さんが出てくる。

「へぇ、随分めかし込むね」

『はぁ……浴衣の品格に押されたんですよ。
　これだけの品物を渡されては何もしないのが申し訳なくなってきたんです』

「構わないよ。仕事さえしてくれればね」

そう言ってほくそ笑みながら横をすり抜けて歩き出す
その後ろを付いて歩きながら道中どう連絡を取り合うかなどを話す

現地に着くころには全てが滞りなく決定して
私は警戒されないようにするため恭弥さんら風紀委員とは別行動

…夏祭りの人込みを見て、恭弥さんが一瞬
顔を歪ませたのは見なかったことにしよう、夏祭りだもの当たり前だ。

…といっても祭りなんて来たのは６？７年ぶりくらいだ
何をしたらいいのかも分からないや

とりあえず何をしたら良いか分からないながら
周りを眺めつつ練り歩く