1話 ページ2
12月のイタリアは寒い。防寒具なしに外へ出れば震えが止まらなくなり、指先は真っ赤になるだろう。
雪のちらつく
足には重々しくまとわりつく鎖。お世辞にも綺麗とは言えない古びたワンピース。もう何年も手入れされていないであろうボサボサの髪。
人からは見えない位置に刻まれた「No.624」の焼印と共に、少女は水桶を抱えて歩いていた。
「遅い!!水を汲んでくるだけというのに、どれほど時間をかけている!!」
少女が水桶を渡した小太りの男は、手にしている鞭で少女の顔を思いきり叩きつけた。体の軽い少女はそのまま2メートル近く吹き飛ぶ。
この寒い日にそれだけの痛みを受ければ、あまりの激痛に意識を失ってもおかしくない。
しかし少女は慣れた様子で、むくりと起き上がる。
そこで少女は、自分が誰かにぶつかった事に気づいた。寒さで感覚が鈍っていたため、立ち上がるまで気づかなかった。
「王子にぶつかってきといて、謝罪もなしかよ。針千本のサボテンにされてーの?」
しししっ、と特徴的に笑う金髪の少年は一瞬ナイフを構えたが、少女が自身の首元を指さしたのを見て声が出せないことを察した。
「おい!!さっさと戻らんかこのノロマが!」
小太りの男から、少女を呼び戻す声が聞こえる。少女は、少年に深く頭を下げて謝罪の意思を示し、男の方へと戻った。
「む?お前、後ろのガキはなんだ?」
少女はなんの事か分からずに後ろを振り返る。するとそこには、さきほどの少年が立っていた。手にはナイフを扇子のように広げて持っている。
「誰がガキだよクソオヤジ。」
「なっ!貴様、口の聞き方に気をつけ…」
男が言い終わるよりも早く、少年のナイフが男の体を切り裂いた。地面に真っ赤な華を咲かせた少年は、少女へ向き直るとこう言った。
「なぁお前、今日から王子んとこ来いよ。」
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夢(プロフ) - Twitterフォローさせていただきました。よろしくお願いいたします。 (2022年6月14日 8時) (レス) id: 6425fa7392 (このIDを非表示/違反報告)
みっきー(プロフ) - こちらこそ、親切に教えてくださってありがとうございます!! (2022年4月16日 0時) (レス) id: 069036dd65 (このIDを非表示/違反報告)
巫女月 - みっきーさん» わざわざ数ある中から探していただいて、ありがとうございます…! (2022年4月16日 0時) (レス) @page2 id: 44a9584735 (このIDを非表示/違反報告)
みっきー(プロフ) - 了解致しました!先程フォローさせていただきました!よろしくお願い致します(*´`)♡ (2022年4月14日 14時) (レス) id: 39298dc62b (このIDを非表示/違反報告)
巫女月 - みっきーさん» 作品名も一緒にユーザー名に書いてありますので、かなり分かりやすいかと思います…! (2022年4月14日 1時) (レス) id: 44a9584735 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:巫女月 | 作成日時:2020年12月23日 2時