検索窓
今日:1 hit、昨日:4 hit、合計:41,623 hit

1話 ページ2

12月のイタリアは寒い。防寒具なしに外へ出れば震えが止まらなくなり、指先は真っ赤になるだろう。

雪のちらつく今日日(きょうび)、硬い石畳の上を裸足で歩く少女が1人。
足には重々しくまとわりつく鎖。お世辞にも綺麗とは言えない古びたワンピース。もう何年も手入れされていないであろうボサボサの髪。

人からは見えない位置に刻まれた「No.624」の焼印と共に、少女は水桶を抱えて歩いていた。


「遅い!!水を汲んでくるだけというのに、どれほど時間をかけている!!」

少女が水桶を渡した小太りの男は、手にしている鞭で少女の顔を思いきり叩きつけた。体の軽い少女はそのまま2メートル近く吹き飛ぶ。

この寒い日にそれだけの痛みを受ければ、あまりの激痛に意識を失ってもおかしくない。
しかし少女は慣れた様子で、むくりと起き上がる。

そこで少女は、自分が誰かにぶつかった事に気づいた。寒さで感覚が鈍っていたため、立ち上がるまで気づかなかった。

「王子にぶつかってきといて、謝罪もなしかよ。針千本のサボテンにされてーの?」

しししっ、と特徴的に笑う金髪の少年は一瞬ナイフを構えたが、少女が自身の首元を指さしたのを見て声が出せないことを察した。

「おい!!さっさと戻らんかこのノロマが!」

小太りの男から、少女を呼び戻す声が聞こえる。少女は、少年に深く頭を下げて謝罪の意思を示し、男の方へと戻った。

「む?お前、後ろのガキはなんだ?」

少女はなんの事か分からずに後ろを振り返る。するとそこには、さきほどの少年が立っていた。手にはナイフを扇子のように広げて持っている。

「誰がガキだよクソオヤジ。」
「なっ!貴様、口の聞き方に気をつけ…」

男が言い終わるよりも早く、少年のナイフが男の体を切り裂いた。地面に真っ赤な華を咲かせた少年は、少女へ向き直るとこう言った。

「なぁお前、今日から王子んとこ来いよ。」

2話→←設定



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (45 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
128人がお気に入り
設定タグ:リボーン , ヴァリアー
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

(プロフ) - Twitterフォローさせていただきました。よろしくお願いいたします。 (2022年6月14日 8時) (レス) id: 6425fa7392 (このIDを非表示/違反報告)
みっきー(プロフ) - こちらこそ、親切に教えてくださってありがとうございます!! (2022年4月16日 0時) (レス) id: 069036dd65 (このIDを非表示/違反報告)
巫女月 - みっきーさん» わざわざ数ある中から探していただいて、ありがとうございます…! (2022年4月16日 0時) (レス) @page2 id: 44a9584735 (このIDを非表示/違反報告)
みっきー(プロフ) - 了解致しました!先程フォローさせていただきました!よろしくお願い致します(*´`)♡ (2022年4月14日 14時) (レス) id: 39298dc62b (このIDを非表示/違反報告)
巫女月 - みっきーさん» 作品名も一緒にユーザー名に書いてありますので、かなり分かりやすいかと思います…! (2022年4月14日 1時) (レス) id: 44a9584735 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作者名:巫女月 | 作成日時:2020年12月23日 2時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。