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「ママ早くー」
『ちょ、歩くの早いよ』
白い粉雪が降る中、前を歩く小さな体を追いかける。
あの日から3年、私は20歳になっていた。
「ママおそいー」
そう言いながら振り返るこの子は、私の子どもではなく姉の子ども。
ママと言われるのがなぜかはよく分からないけど、姉の事をお母さん、私の事をママと呼ぶから今の子は不思議だ。
今にも走り出しそうなその子を宥めて、手を繋ぐ。
今日は姉が出張のため代わりに面倒を見ていた。
しばらく歩いていると、急に小さな体が止まった。
『どうしたの？』
顔を覗く様にしゃがむと、目線が合うことは無く、私の後ろの方を指差した。
「パパ」
意味が分からず、小さな手が差す方を目で追う。
そして、見覚えのある顔に目を見開いた。
『ゆ、うじ』
私が名前を口にした人は、私とその隣の小さな体を交互に何度も見詰める。
「…結婚したの？」
有志と顔を合わせるのはあの日以来で、思うように言葉が出てこない。
『この子はお姉ちゃんの子どもで、今日は私が代わりに面倒見てて、』
振り絞るように言った後、焦っている事がまるで言い訳したかのようで少し恥ずかしくなる。
そっか、と言いながら彼は少し口角を上げた。
その顔につられて頬が緩む。
「パパぁ早くいこー」
そう言いながら有志のコートを引っ張る小さな手。
もちろん、パパなんて言われた彼は驚きを隠せていない。
『ごめんっ、この子たまに変な事言うから、』
ごめんなさいして、なんて言うと、有志は声を出して笑った。
その笑顔はあの日以来初めて見るもので。
想いにしていた蓋が少し開いた気がした。
「どこに行くの？」
有志は目線を合わせるようにしゃがみ込んで小さな頭を撫でる。
「公園でね、雪だるま作るの！」
無邪気な笑顔をしているのは子どもだけではなく、有志もだ。
何だかそれが本当の親子みたいで胸がキュッとなる。
「なんか本当の家族みたい」
有志が発した言葉が私の心の中と重なって驚く。
「A、俺まだ諦めてないから」
それだけ言うと、有志は小さな手と私の手を引いて歩き出す。
「もうこの手離す気ないし長期戦も覚悟してるから」
なんて私の大好きだったあの笑顔で笑うから困る。
町を白く染める粉雪は今は輝いて見える。
2人が本当のパパとママになるのは、
もう少し先の話。
【粉雪 × ﾆｼﾀﾞﾕｳｼﾞ】
同棲 × ｵﾉﾃﾞﾗﾀｲｼ→←粉雪 × ﾆｼﾀﾞﾕｳｼﾞ 1”
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レス) id: 30f1f4cb3e (このIDを非表示/違反報告)
strawberry milk(プロフ) - 石川くんに片思い的なお話お願いします！ (2019年10月28日 21時) (レス) id: 8bb5d883c8 (このIDを非表示/違反報告)
みはりょ(プロフ) - 西田選手との彼シャツお話お願いします (2019年10月28日 20時) (レス) id: 0e6b4f9a0c (このIDを非表示/違反報告)
まりる(プロフ) - 石川くんのお話みたいです！女の子の日的なものと、大喧嘩しちゃったりなんだり… (2019年10月28日 19時) (レス) id: b47e72213e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：きのこ x他2人 | 作成日時：2019年10月22日 23時
