恋の話

幼馴染 × ﾆｼﾀﾞﾕｳｼﾞ ページ1

友達以上恋人未満。
私と彼の距離はそんな感じだ。
もっと簡単に言うと幼馴染。

そんな私は彼の事がずっと好きなんだけど。
所謂、長年の片思い。

『有志じゃま。退いて｡』

「Aが動けばいいじゃん」

今日は部活がないらしく昔と変わらず私の部屋でダラダラと過ごしている。
テレビをつけようと机に手を伸ばすけど有志が寝転がっていてリモコンに手が届かない。

(というかここ私の部屋なんですけど)

ちょっと悔しくて手だけを伸ばして取る事に。
でも有志は意外と横幅があって手を伸ばしてもリモコンに手が届く事はなかった。

「届かないなら立てばいいのに」

そう言いながら有志は鼻で笑った。
それが余計に悔しくて勢いをつけて思いっきり手を伸ばす。

『きゃっ』

「うわっ」

勢い余ってバランスを崩した私は有志のお腹に倒れ込んでしまった。
程よく筋肉がついて引き締まった体は幼い時とは全く違くて。

『ごめんっ』

慌てて起きあがるけど、急に恥ずかしくなって顔が見れない。
そのまましばらくの沈黙が流れた。

「あのさ」

それを先に破ったのは有志だった。

「ずっと我慢してたのにそんな事されると困るんだけど。」

『え？』

有志はゆっくりと起き上がって、だからぁ、と頭をかいて言葉を選ぶ。

「幼馴染って関係が崩れないように頑張ってたのに。
…もう無理だわ」

そう言うと私の手を引っ張って顔を近付ける。
今までにないくらい近い距離に、徐々に顔に熱が溜まっていくのが分かる。

「ずっとAが好きだった。」

Aは？なんて聞かれて、目を見開く。
ずっと彼の幼馴染というポジションでしかいられないと思ってたから。

『…私も、すき』

心の奥に秘めていた想いを口にするとぎゅっと抱きしめられて。
だと思った、なんて言う彼は私の大好きな笑顔で笑った。

「これからは幼馴染じゃなくて彼女、な。」

『有志は彼氏、だね』

有志と目が合って、どちらともなく笑うとそのまま額を合わせる。



想いを伝えあった時､2人は幼馴染から恋人に。


【幼馴染 × ﾆｼﾀﾞﾕｳｼﾞ】

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