Chocolate palette. 【A3！】 (ページ38)

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Amour de fondant. / 雪白東ページ38

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「Aはボクにチョコくれないの？」

「んんっ、げほっ…！」

東さんの唐突な問いかけに、思わず飲んでいたココアを吹き出しそうになる。
そばにあったティッシュで口元を拭いてから、彼の方を向き直る。

「…私にも心の準備ってものがあるので、そういうことは言わないでください！」

「そんな言い方するってことは、用意してくれたんだね、ありがとう。」
「東さん、聞いてます？」

ちゃんと聞いているのか否かよく分からない東さんは、ふふっと笑う。

「さっき皆には渡してたのに、ボクにだけくれないから、ショック受けてたんだよ？」

結構仲良いと思ってたのに、なんて言いつつも笑顔は崩さない。
本当は貰えるって分かってる癖に。
今日もやっぱり彼のペースに乗せられる。
あぁ、もうムードも何も無いけど渡してしまえ。

「…そんなに待ち遠しいならあげます、頑張って作ったんですからちゃんと味わってくださいね！！」

他の団員の皆に渡したものより、ひとまわり大きい箱。
受け取る時に、少しだけ指先が触れる。
ぱっと東さんの顔を見ると、くすくす笑っていた。
くそう、絶対わざとやってる。
私の気持ち知っててわざとやってるよあの人。

「わぁ、これってフォンダンショコラ？」

「臣くんに手伝ってもらって作ったんです。」

劇団一の料理の腕前を誇る彼に手伝ってもらったのだから味は確かだ。
それを半分に割って、チョコが垂れないように口に入れた。

「うん、美味しい。」

そう言って口の端を指で拭う東さんは、凄く色っぽい。
なんとなく直視できなくて目を逸らした。