Chocolate palette. 【A3！】 (ページ35)

今日:2 hit、昨日:38 hit、合計:32,336 hit

▽ ページ35

.

『今プレゼントしてもいい？って寝ないの』

すぴ… と寝息をたて始めた彼の真っ白な頬を撫で、
さらりと動く髪の毛を撫でるように触れた。
気温が低いからだろう、冷たい頬が私の指にすがるように頬をつける。

｢ Aの指、あったかい｣

『へへ、珈琲で温めてたから』

無表情な彼がどことなく笑っているように見える。
それだけで私は思わず笑みを浮かべてしまう。

｢おれ、絶対起きれないのに … 今日は誰かに呼ばれているみたいに感じて、ここに来てた｣

＿＿＿＿ Aが俺のこと呼んだのかな、と寝息を含んでふわふわと口を開く密に胸がきゅんと音をたてる。

『二人きりのときに渡したいって思ったからかも』

詰めていたお菓子とは別な種類のお菓子。
つまり密専用で作ったチョコレート、そして彼の大好物のマシュマロ＿＿ではなくチョコレートマシュマロを買って来て袋に入れたもの。それを私の膝の上で仰向けになっている彼に見せるようにすると、ゆっくりと身体を起こした。

｢ … これ外国のマシュマロ … チョコ入り … ｣

『チョコレートマシュマロじゃなきゃ駄目な日なの』

バレンタインの日に贈るものには意味があり、チョコレートマシュマロは深い愛で包む。
対してマシュマロは嫌いという意味があるそうだ。

｢おれはそんなの信じないから…次はマシュマロ｣

そう言いながら袋を開けて食べ始めた密の指がマシュマロを持ったまま私の唇に触れた。

｢口開けて、一個あげる｣

気恥しくて火照る頬、そのまま口を開けばふわりとマシュマロが口の中に入り彼の唇が私の唇に蓋をするように重ねた、長くて大人なキス。

｢ … あま、い …… すぴ… ｣

唇が離れた途端に夢現、私の肩に頭を預けて眠りについた彼の頭をゆっくりと撫でた午前10時。

私もつられて夢の世界へ誘われてしまう、

そんな幸せな時間。

.