Present / 高遠丞 ページ32
バレンタイン。
毎年雪が降るこの季節に世間は騒ぎ始める。
付き合ってる人、そうでない人皆して自分が気になっている相手からチョコを貰えるか貰えないかで論争が起きるぐらいだ。
結果、貰えた者には幸せが訪れ、貰えなかった者には哀しさが訪れる。
一種の社会現象のようなものだ。
だからといって特に何も思わない。
貰えたら感謝するだけでそうでなかったらただただ普通の日だ。
七尾たちが談話室ではしゃぐ、その姿を見て今日もアイツららしいと思うだけだった。
『 丞さん 、 』
色々考えていると不意に背後から声を掛けられる。
声のした方に振り向くとそこには可愛らしくはにかむAがいた。
「 どうした 」
『 これ 、 』
彼女はそう言うと後ろに隠していた物を俺に差し出した。
「 俺にか? 」
『 丞さんしかいません 』
あけてください 、と言い様子を伺う彼女を前に仄かなピンク色のリボンを取り中身を確認する。
「 ... マフラー? 」
『 丞さん 、チョコっぽくないので 』
そう言い照れくさく笑う彼女に胸の奥が締まるように感じる。
『 なんで “ マフラー ” か 、わかりますか? 』
「 知らん 。 」
『 丞さんらしいです 』
「 なんでマフラーなんだ 」
『 ... あとで調べてみてください 』
彼女は俺を試すように睨むとそのまま部屋に戻った。
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作者名:Chocolate palette.製作委員会 x他4人 | 作者ホームページ:なし
作成日時:2018年2月14日 21時