Chocolate palette. 【A3！】 (ページ3)

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「…Aちゃん？」

お昼休み、

佐久間先輩の方からわざわざ教室に来てくれた

「…先輩！わざわざすみません！」

「ううん、いいんだよ！いつも来てくれるからたまには俺が迎え行かなきゃね！」

そう言って笑う先輩はとってもかっこよくって見惚れてしまう

そうこうしているうちに屋上前の階段に到着

二月の屋上でお昼ご飯食べられるほど身体は丈夫にできていない
というか、こんな真冬に外で食べる人なんていないだろう

だから、階段に二人並んで座った

「今年もクラスの女子が全員にチョコ配ってくれたんだ！」

「どれも美味しそうですね」

今、ちゃんと笑えてるかなぁ
私、嫌な女だ

私が彼女なんだから、とか

私以外の女の子に取られたくない、とか

そんなどす黒い感情ばっかり出てくる

「…Aちゃん、大丈夫？」

声をかけられてはっと我に返った

隣を見れば、心配そうにこちらを見ている先輩がいる

あぁ、そんな顔見たら全部言いたくなっちゃう

打ち明けていいかなって思っちゃう

「Aちゃんが元気ないと俺も嫌だから、相談ならいつでも乗るよ…？」

「せんぱい、」

私がそう呼べば、先輩は首を傾けて、私と目線を合わせてくれる

「私、嫌な女なんです、

…先輩がクラスの人からチョコ貰ってるの見て、ヤキモチ妬いて、一人でイライラしてるんです」

「Aちゃん、」

いつも以上に落ち着いた声で名前を呼ばれた

「…ちょっと不謹慎かもしれないけど、俺はAちゃんがヤキモチ妬いてくれて嬉しいんだ」

先輩は、優しい目をして私の頭を撫でる

少し擽ったくて私も目を細めた

「俺ばっかり好きなんじゃないのかな、って思うこともあって…
だから、Aちゃんも俺のこと好きでいてくれてるんだ、って嬉しくなっちゃった」

えへへ、と恥ずかしそうに笑う佐久間先輩を見て、胸がキュンと鳴った

私もつられてへらっと笑う

「私、先輩が思っている以上に先輩のこと大好きです」

「俺だって、Aちゃんが思ってる以上に大好きだよ！！」

そう言い合ってから顔を見れば、お互い真っ赤だった

そんな顔を見て二人で笑い合う

あぁ、先輩を好きになれてよかった、なんて

どちらからともなく額を合わせる

「…これからもよろしくお願いします」

「こちらこそお願いします」