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見渡す限りの十字架や木の杭。
それに瓶に入った何か不気味な液体や、にんにくが萎れて小さくなった首飾りのような物。
これってもしかして……。
太智「ここには、俺の先祖が残したヴァンパイアを抹殺する道具が揃ってる」
A「ヴァ、ヴァンパイアを抹殺？！な、何言ってるのよ太智……」
太智「俺のご先祖様は昔、人々を恐怖に陥れるヴァンパイアと戦ったヴァンパイアハンター、シオックの民の戦士だったんだ。
そして俺は、そのシオックの民の末裔……」
A「シオックの民？」
その言葉、どこかで聞いたことがある。
確かヴァンパイアと人間のハーフである柔太朗君が、その言葉を口にしていたような……。
太智「俺のご先祖様はヴァンパイアの王と戦い、そしてその王を退けたんだってさ。
その時の記録がここに残ってる」
そう言って差し出されたのは一冊の古い書籍。
カバーはボロボロで今にも崩れてしまいそうだ。
私はそれを太智から受け取ると、中を見てみた。
そこにはこう書かれている。
『1801年10月31日。
ついにヴァンパイアの王を追い詰めることができた。
シオックの秘宝の銀の剣を使い、奴を串刺しに。
そして、皆の想いが詰まったこの木の杭で、奴の心臓を。
けれど、どういう訳か、奴の姿が一瞬のうちに雷鳴の中に消えてしまったのだ。
それから奴の屋敷のどこを探しても見つからない。
城下も、近隣の森の中にも、結局、奴の姿は見つけることができなかった。
ヴァンパイアの王、サーノリア・ハヤティッシュ�契い了僂髻�
A「サーノリア……ハヤティッシュ……」
勇斗さんの事だった。
ここには、太智のご先祖様と勇斗さんの闘いの記録が残されていたのだ。
きっとこの瞬間に、どういう訳か勇斗さんは令和の時代にタイムスリップしてきたんだ。
ってことは、仮に勇斗さんが元の時代へ戻ったとしても、太智のご先祖様に勇斗さんは殺されるってこと……？
太智「そして、そこに書かれているシオックの秘宝がこれ」
物置小屋の一番奥に飾られた物々しい黒ずんだ剣。
あの時勇斗さんがお腹に刺し傷を作っていたのは、この剣に刺されたからなんだ。
ヴァンパイアの力を封じ込める、銀で装飾されたこの剣に。
けれど、今はその銀も黒ずんでしまっているけど。
太智「この剣には、不思議な力が宿っているんだって……」
A「不思議な力……？」
太智「ヴァンパイアが近くにいると、青く輝いて知らせてくれるんだってさ……」
A「へ、へぇ……」
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作者名：milkssss | 作成日時：2021年2月20日 16時
