甘党宣言

《桃》望くんに捧げる必需品 ページ8

〆．

望くんに捧げる必需品

〆．



世間一般的に、今日はバレンタインデーという。



「望くーん」



「ふぁいっ！」



「なに、バトル開始する？」



「せん！せん！」



なんだか緊張しているみたい。



あ、そっか。もらえると思ってるのか。



なるほどなるほど。



「まああげるんだけど」



「やったー！！」



はいっ、と渡せば、そのまま真空パックの袋に入れようとするので慌てて止める。



「中身、見てからにしてくれる？」



「あ、せやんな。ごめん、丸ごとやなくて一個一個やんな」



違う。断じて違う。



「もうっ、ほら口開けて？」



「へ、へ、」



望くんの両頬を片手で掴み、チョコをころんと転がす。



「ほ、ほっぺた溶ける……」



「他の感想が聞きたいかな」



「俺、一生この味食えるなんて幸せや！」



「さり気ないプロポーズととらえても？」



「………あ"っ？！」



わたわたし始めたので、望くんの頬をつついてみた。



「一生顔洗わん……」



「やめてね？」



望くんはふにゃふにゃ笑いながら、ようやくチョコと同封した手紙に気付いたらしい。



「…………読んでから、にしてね？」



「へっ？！」



望くんの考えてることはよくわかるよ。



「頑張って手紙書いたんだから、ちゃーんと読んでほしいな？」



「ぐぉう……」



「ん？どしたん、望また死にかけてるやん」



「あ、流星」



流星が、望くんの手にある手紙とチョコを見て納得する。



「一個ちょーだい」



「は？！あかんに決まってるやろ！！近寄んな！」



「そうだよ、流星にも作ってきてるから」



「えええ？！」



なんでなん！と喚く彼には、



「もちろん望くんにはチョコよりも甘いもの、プレゼントするつもりだからね？」



とかなんとか言って。



「最高……今夜のおかずにする」



「ボイスレコーダーで満足なんだ」



「えっ！？」



ちゃっかりラッピングの袋もチョコを入れていた小さなカップも真空保存していらっしゃる。



「まあ望くんが私と夜を共にしたくないなら」



「したい！したいです！」



ビデオカメラ回してるなぁ。



「そんなとこも好きだけど」



「ああ………」



愛の言葉伝える度に望くんを命の危険にさらしてしまうなぁ。



まあ……いっか。



〆．

《桃》３食、望くんの愛情付き。→←《赤》赤い部屋にはシゲオカダイキがやって来る。

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