にゃんが十七匹 ページ17
「あ_____雨」
夜、仕事帰り、駅を出るとポツポツと雨が降り出していた。
鞄を見てみるが、折りたたみ傘を入れるのを忘れてしまった。
今日天気予報では一日中晴れだったはずなんだけどなぁ。
杏寿郎さん達に傘でも持ってきて貰おうかなと一瞬思ったが、持ってきてもらう途中で、濡れて子ども姿になられたら困る。
仕方がない。今日は濡れて_____
「A」
「Aさんっ!」
呼ばれて声のする方を見ると、傘を持った杏寿郎さんと千寿郎くんが居た。
「どうしたの!?私、電話とかメール送ってないよね…!?」
「はい!でもAさんいつもこれぐらいの時間に帰ってくるので……兄上と待っていました!」
「うむ!Aが風邪を引いたら大変だからな!ほら、傘だ!」
傘を差し出されて、私はそっと受け取って、杏寿郎さんの髪にそっと触れた。
「む?A?」
次に千寿郎くんの髪も優しく撫でた。
「Aさん…?」
「二人とも濡れないで……大変だったでしょう?」
そう言うと、二人は嬉しそうに目を細める。
「君の事を考えていたら濡れることは無かった!」
「いえ…、それよりAさん、夕食できてますよ、帰りましょうっ」
よし、じゃあ行こうか、とみんなで傘をさして歩き出した瞬間勢いよく風が吹いて三人とも傘が壊れてしまった。
「むぅ…」
「えっ…」
「あははっ、壊れちゃったねっあはは……」
さすがにこれには笑ってしまう。
二人が固まっているのが、更に面白い。
「みんなで濡れて帰ろっか、しっかり手を繋いでてね」
右手に壊れた傘を持って千寿郎くんの手を握る。
千寿郎くんは杏寿郎さんの手を握って帰る予定なのだが……。
スっと右手の壊れた傘を抜き取られ、握られる。
「杏寿郎さん?」
「俺が一番暴れるのだろう?ならばしっかりと繋いでいてくれ」
「ふふっ、そうですね」
三人で雨に濡れながら帰る。
幸い私達の帰り道は人通りの少ない所のため、誰かに二人の変化を見られることは無い。
どんどん小さくなっていく二人。
服もズルズルになっていく。
「む!Aっ!お腹空いた!」
「ねねっ、空いた!!ねねっ、抱っこ!」
私は千寿郎くん(三歳)を抱き上げて、千寿郎くんがポロリと落とした壊れた傘を持って、杏寿郎さん(五歳)と手を繋いで帰る。
「帰ったら即ザパーンだよ」
「ざぱーん!ざぱーん!!」
ちなみにざぱーんとはお風呂の事である。
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丸(プロフ) - グミさん» わぁぁ!!グミさま〜!!お優しいコメントをありがとうございます。゚(゚´ω`゚)゚。グミさまの心を少しでもホワホワさせることができたのなら幸いです!こちらこそ長い間お付き合い下さりありがとうございました!<(_ _*)> (1月30日 11時) (レス) id: fa76bf1609 (このIDを非表示/違反報告)
グミ - 途中まで読んでいて、でも忙しくて全然読めてなかったのですが、ちらっと除くと完結、と出ていたので一気読みしてしまいました!2人と別れる時、涙が溢れてきました。でも!再会できて良かったです!!しあわせになって、良かった…!コメント失礼しましたm(*_ _)m (1月30日 6時) (レス) @page50 id: 9cb77040e4 (このIDを非表示/違反報告)
丸(プロフ) - maxiahさん» お久しぶりです!maxiah様!(*´∇`)心が浄化されましたか!それは光栄の極みです!!長い間おやすみしていたのにも関わらずお優しいお言葉胸にしみます(*/-\*)素敵なコメントをありがとうございました!m(_ _)m (2022年4月7日 17時) (レス) id: fa76bf1609 (このIDを非表示/違反報告)
maxiah(プロフ) - お久しぶりに拝見させていただきました。はぁ心が浄化されます。好きです。 (2022年4月6日 22時) (レス) @page37 id: f2fb6597c0 (このIDを非表示/違反報告)
龝(プロフ) - 墨染さん» わぁぁ!墨染さまっ!こんばんは!こちらこそ、墨染さまとお話する時は安らぎの一時です!いつもありがとうございますm(_ _)mこれからも、墨染さまを幸せにできるようなお話作りを頑張ります…!(*´▽`*) (2021年7月6日 22時) (レス) id: fa76bf1609 (このIDを非表示/違反報告)
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